【沖縄の旧盆】お墓で行うウンケー(初日)の拝み言葉

拝み言葉

沖縄の旧盆では、多くの地域でタナバタ(旧暦7月7日)にお墓参りを行い、当日は門前でのお迎えのみと言われますが、一部の地域では沖縄でも旧盆の初日、「ウンケー」の日にお墓までお迎えにあがります。

本州地域ではお盆当日の夕方に提灯を持ってお墓へ行き、御先祖様を家まで案内しますが、これと同じような慣習です。近年、タナバタにご案内できなかった年には、この方法を取る家庭も増えました。

…では沖縄の旧盆当日にお墓へお迎えにあがる場合、どのように拝み迎える習わしがあるのか…、知らない方も多いですよね。

そこで今日は、沖縄の旧盆初日にお墓まで案内に行く時、どのような拝み方、迎え方をするのか…、その習わしをお伝えします。

【沖縄の旧盆】お墓で行う
ウンケー(初日)の拝み言葉

玄関前に準備する「ソーローホーチ」

沖縄の旧盆では御先祖様が家へ上がる前に、足を洗うためのほうきと、水おけを用意します。これが「ソーローホーチ」です。

本州では四本足を付けたきゅうりやナスのお馬さんが有名ですが、沖縄では「グーサンウージ」と呼ばれる七節のウージ(サトウキビ)の杖を用意するなど…、少し本州とは用意するものも違いますね。

【 沖縄の旧盆、門前に「ソーローホーチ」 】

★ ソーローホーチは沖縄では野山で取ることが出来るハギの一種、「メドハギ」で作った「ほうき」です。

・ 足などを払うことができる「ソーローホーチ」を作ったら、用意した水おけ(足を拭くためのもの)に、ほうきの先を水に浸けつつ、門前に立て掛けます。

ちなみに、「ソーローホーチ」で使うメドハギは、「ソーローハーシ」(沖縄の旧盆でお供え物に添える、御先祖様が使うお箸)でも使います。

お墓へ持参するもの

シルカビなど

本州でお盆にお墓までお迎えに行く時には、提灯を持って行く地域が多いですが、沖縄ではそれはありません

タナバタでお墓参りをする時と同じく、当日お墓まで迎える場合でも、「御先祖様へご案内」の感覚です。

【 沖縄の旧盆、墓前まで迎える時の持ち物 】

★ 沖縄のお墓では、まずお墓の守り神様(土地神様)でもあります「ヒジャイガミ(左神)」様へ、日ごろのお見守りへの感謝を拝み、続いて御先祖様へ拝みます。

《 ヒジャイガミ(左神)様 》

・ シルカビ … 半紙を半分に折り、四分割したものです。(詳しくは別記事「シルカビやウチカビ☆作り方や使い方5つの豆知識」でお伝えしています。)

・ ウサケ(お酒)
・ ヒラウコー(平線香=沖縄線香)タヒラ(二片)

※ シルカビを燃やすための金属ボウル「カビバーチ」など。

《 ウヤフジガナシー(御先祖様) 》

・ 供え花
・ ウサケ(お酒)
・ ウチャトゥ(お茶)
・ ミジトゥ(お水)
・ ヒラウコー(平線香=沖縄線香)タヒラ(二片)

外でのお参りと言うと、御願用具が携帯でき、そのままお供えできる沖縄の御願箱である「ビンシー(瓶子)」を思い浮かべる方が多くいますが、お墓参りは御先祖様への拝みなので、ビンシーは使いません

ビンシーは「神様への拝み」で主に用いられてきましたし、「家の印鑑」などと言われますが、本来琉球王朝ではビンシーは用いておらず、民衆から始まった習慣ともされています。

ヒジャイガミ(左神)様への拝み

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沖縄の旧盆に限らず、あらゆるお墓参りでヒジャイガミ(左神)様へは、「御挨拶」を行う感覚です。

ですから、お墓に来たらまず最初にヒジャイガミ(左神)様へ拝むと同時に、毎回、「今回は○○のために来ました。」とご報告をします。

【 沖縄の旧盆、 ヒジャイガミ(左神)様への拝み 】

① ヒジャイガミ(左神)様はお墓の左側、向かって右側にいらっしゃいます。ここに向かって、前出のお供え物、ヒラウコーを拝してください。

② 続いて、今日お墓に来た理由をお伝えします。

… 沖縄の旧盆が目的であれば「ウートゥートゥ、ヒジャイヌウカミガナシー」とお呼びした後に、御先祖様を旧盆にご案内しに来たことを報告すればバッチリです♪

③ 拝み終えたら、カビバーチ(金属ボウル)でシルカビとヒラウコーを燃やして、お供えをしていたウサケ(お酒)を掛けます

…以上でヒジャイガミ(左神)様への拝みが終わりです。これは従来のタナバタや清明祭(シーミー)など、他のお墓参り行事でも同じですので、習慣として覚えてみてはいかがでしょうか(*^_^*)

墓前で、お迎えの拝み

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ヒジャイガミ(左神)様へ拝み、シルカビを燃やした後は墓前へ移ります。こちらでは、今日が沖縄旧盆の初日であること、おもてなしの準備が整っていることを伝え、ご招待を掛けてください。

【 沖縄の旧盆、墓前での拝み 】

① お墓には前述したお墓のお供え物を供え、ヒラウコー(平線香=沖縄線香)はタヒラ(二片)です。

② 家長を中心に案内を掛けます。

…「ウートゥートゥ、ウヤフジガナシー(あな尊き、御先祖様)

チューヤ シチグァッチヌ ウンケーヌヒィ ナトゥーイビイン、
(今日は旧盆(シチグァッチ)はウンケーの日になりましたので、)

チューカラ ジュウグニチマディ、チネーサンムトゥウトゥーティ、シチグァッチヌ ウトーゥイ ムチィ、
(今日から十五日まで、家で旧盆のおもてなしをいたしますので、)

サビーグトゥー ヤーンカイ、ウキィトゥイガーミンスーリー クィミスーリー
(どうぞ家までいらして、お受け取りいただきますように…)

ウートゥートゥ
(あな尊き御先祖様)」

お供え物を片付けて家に帰れば問題ありません♪後は、通常のウンケー行事と同じように、門前の拝みから仏前まで拝み、家でおもてなしをしてください(*^_^*)

いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の旧盆ではあまり見られませんが、一部地域では今も残る、沖縄の旧盆初日、ウンケーに御先祖様をお墓まで迎えに行く風習をもつ地域で行う、墓前での案内の仕方についてお伝えしました。

また冒頭でお伝えしたように、最近では仕事が忙しく、昔のようにタナバタ(旧暦7月7日)にお墓参りに行くことが難しい家庭もあります。

そんな家庭では、この方法でウンケー当日(沖縄の旧盆初日)にお迎えに上がっても、良いのかもしれません。

タナバタの拝み方でお伝えしたように、墓前ではヒジャイガミ様へ拝むよりも前に、簡単にお墓の門前、お墓区画に入る前に門前は左側へ拝み、階段の端っこ(多くが右側)に拝む家もあるなど、家や地域によっての違いは多いです。

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まとめ

お墓に御先祖様を迎えに行く人の拝み方

・門前には「ソーローホーチ」を立て掛けておく
・ヒジャイガミ様へはシルカビ、ヒラウコー、お酒
・御先祖様へはご飯、お酒、水、お茶、供え花
・まずヒジャイガミ様へ拝み、シルカビを燃やす
・シルカビはお酒を掛ける
・続いて墓前で旧盆の案内を掛ける