沖縄の重箱料理「ウサンミ」☆供える時の習わしとは

沖縄の重箱料理「ウサンミ」☆供える時の習わしとは

沖縄の拝みではウサンミ(御三味)と呼ばれる、ジューバク(重箱)に詰めた御馳走は欠かせませんよね。

全国的なおせち料理のような詰め方ではなく、きっちりと賽の目のように詰められている、特徴的な料理です。

この沖縄のウサンミ(御三味)には法事用とお祝い用があり、その時々によって使い分けたり、墓前(お仏前)でのお供えの向き、詰める場所など、ちょっとした習わしもあります。

そこで今日は、拝み事では欠かせない沖縄のウサンミ(御三味)、基本的な習わしをお伝えします。

沖縄の重箱料理「ウサンミ」☆
供える時の習わしとは

沖縄のウサンミ(御三味)の意味合い

沖縄の方々であれば、沖縄のウサンミ(御三味)はジューバク(重箱)に豚の三枚肉の煮付けや、かまぼこ、魚の天ぷらなどが詰められた御馳走重であることは分かりますよね。

実はこのジューバク(重箱)に詰めるおかずには、昔ながらの習わしがあります。

【 昔ながらの、沖縄のウサンミ(御三味) 】

★ 「ウサンミ(御三味)」の名前の通り、「三種類の御馳走」を用意します。全国的には仏教の教えに倣い肉は出しませんが、沖縄の御馳走と言えば「肉」です。

・ ですから例えば「豚肉・鶏肉・魚」の三種類であったり、「豚肉・牛肉・羊肉」であったりします。

驚く方もいますが、沖縄では法事料理でもお肉を出します。枕飾りでは茹でた豚肉を七枚供えますし、お墓の建墓祝いでは、(地域によって違いますが)豚の顔や鳥一羽を出す風習もありました。

ちなみに羊肉は「ひーじゃー」として親しまれ、お祝いの意味合いが強いです。新築祝いなどでは羊肉のお汁「ひーじゃー汁」などを振舞う習わしもあります。

【 現代の沖縄のウサンミ(御三味)、定番おかず 】

★ 現代の沖縄のウサンミ(御三味)では、「しし・かまぶく」の言葉があります。

・ 基本の四品…豚の三枚肉の煮付け・昆布・揚げ豆腐・かまぼこを中心にして、プラス一品~五品で奇数品目のおかずを詰めてください。

沖縄のウサンミ、法事用と祝辞用

沖縄のウサンミは法事や祝辞、年中行事の拝みでもお供え物として出されます。ただし、お祝い事と法事ではおなじおかずでも、飾り方や詰め方が変わるので、注意をしてください。

【 沖縄のウサンミ、法事用と祝辞用 】

① お祝い事のウサンミ

・ かまぼこ … 赤かまぼこ
・ 昆布の煮物 … 結んで詰める「結び昆布」
・ 豚の三枚肉 … 皮部分を底にして詰める

★ もち … よもぎなどの色もちや、あんこ入りのおもちも詰める

※ この他、お祝い用のおかずにはハレの席で出すことの多いターンム(田芋)料理が詰められることが多いです。

② 法事用のウサンミ

・ かまぼこ … 白かまぼこ
・ 昆布の煮物 … 切り目を入れて返した「返し昆布」
・ 豚の三枚肉 … 皮部分を上にして詰める

★ もち … あんこが入っていない白もちのみを詰める

※ ハレの膳のおかずであるターンム(田芋)などは出せないので、代わりにこんにゃくの煮物などを詰めます。

…このような違いがあります。

ジュウルクニチとシーミーの違い

また、同じお墓参りの年中行事でもジュウルクニチ(十六日)とシーミー(清明祭)では詰め方が変わりますので、こちらも注意をしてください。

【 ジュウルクニチとシーミーのウサンミは違う 】

・ ジュウルクニチ(十六日) … 故人が初めて迎えるジュウルクニチでは、供養の意味合いもありますので、沖縄では法事用のウサンミを用意します。

・ シーミー(清明祭) … 名前に「祭」とあるように、お祝いの意味合いが強いので、コチラはお祝い用の沖縄のウサンミです。

…この他、お盆やお彼岸でもお祝い用のウサンミを用意します。

沖縄のウサンミ(御三味)、おかずの詰め方

さらに法事用・祝辞用と共通で伝わる、おかずの詰め方や供え方があります。…基本の詰め方は賽の目状に三×三に分け、九品を詰めるのが基本ですが、七品・五品の地域もあります。

【 沖縄のウサンミ、詰め方・供え方 】

① 基本的な詰め方としては、中央にかまぼこが入り、祖霊方(お墓やお仏壇)の上段中央に豚の三枚肉の煮付け、拝み手方の下段手前に昆布を詰めるのが慣習です。

② 祖霊(お墓やお仏壇)に向かって、左端から、おかず重→おもち重→おかず重→おもち重、と並べて供えます。

③ スペースの問題で二列にする場合には、左端からおかず重→おもち重、その下(拝み手方)はおもち重→おかず重となるよう、交互に並べてください。

…③のように二列で並べる場合、拝み手方は鏡のような対称になります。そのため、おかずの中央上段は、豚の三枚肉ではなく昆布となるので、ここも意識してみると丁寧です。

 
 

いかがでしたでしょうか、今日は拝み事には欠かすことができないウサギムン(お供え物)、沖縄のウサンミ(御三味)についてお伝えしました。

ちなみに、沖縄のウサンミはチュクン(2セット=おかず重+おもち重のセットが2つ)、とカタシー(「片方」の意味合いで1セット=おかず重+おもち重の1つ)の2パターンがあります。

同じ法事でも、家族のみで静かに行うマドゥナンカ(偶数週の焼香=法要)ではカタシーを準備することが多く、親族が集まるウフナンカ(奇数週の焼香=法要)ではチュクンを用意する…、と言った具合です。

位牌の故人が一人であれば、添えるお箸は一膳で問題ありませんが、複数の御先祖様であれば、お箸も複数膳、ジューバク(重箱)の上に置いてください。

【 ジュウルクニチに役立つ記事 】

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沖縄の重箱料理「ウサンミ」☆供える時の習わしとは

まとめ

沖縄のお供え物、「ウサンミ」の習わし
・ウサンミは「御馳走が三種類」の意味合い
・法事用と祝辞用のウサンミは違う
・ジュウルクニチは法事用を用意する
・シーミーやお盆は祝辞用を用意する
・中央にかまぼこ、上下に豚肉・昆布と詰める
・霊前側に豚肉、拝み手方に昆布の向きで供える
・向かって左からおかず重→おもち重と並べる