「ジュールクニチ」は「あの世の正月」☆拝む人々とは
ジュールクニチは「十六日」の沖縄言葉で、旧暦一月十六日に行うお墓参り行事を差しますよね。
特に離島地域に馴染みの深いお墓参り行事で、那覇市三重城の八重山諸島への遥拝所広場では、多くの離島出身の方々が拝みを捧げています。全国的にも「風物詩」として知られている光景です。
ただ、離島地域の方々ばかりではなく、沖縄本島の方々にとっても、ジュールクニチにお墓参りを行う機会はありますよね。
旧暦一月十六日は新暦2019年では2月20日(水)!そこで今日は、来るジュールクニチを行う人々など、今に伝わる慣習をお伝えします。ぜひ、参考にしてください♪
「ジュールクニチ」は「あの世の正月」☆
拝む人々とは
ジュールクニチはあの世の正月
沖縄ではジュールクニチを「グソーの正月」と言います。「グソー」とは「後生」と書いて「生きた後」ですので、「あの世」を差します。
ですから、この日には故人を癒し供養をするために、お墓参りを行うのが慣習です。…ただし、沖縄県全域で行われている慣習ではありません。
【 ジュールクニチを行う人々とは 】
① 離島地域の人々 … 久米島や宮古島を中心に、主に離島地域に広がる習わしです。
② 離島出身の人々 … 沖縄本島に移住した人々も、那覇市三重城(ミーグスク)で故郷をウトゥーシドゥクル(お通し処)として集い、宴を催しながら拝みます。
③ 身内が亡くなって初めて迎えるジュールクニチ … 沖縄本島でも、初めてジュールクニチを迎える故人がいる家庭では、ジュールクニチを盛大に行います。
③の初めてジュールクニチを迎える故人がいる家庭では、「初めて(ミー)のジュールクニチ(十六日)」として、「ミージュールクニチ」と言います。
ミージュールクニチとシーミー(清明祭)
故人が初めてジュールクニチ(十六日)を迎える家庭の多くは、喪中にも当たりますよね。ですから全国的な習わしと同じように、新正月はもちろん、旧正月を祝うこともありません。
けれどもこのような家庭でも、「あの世(グソー)の正月」ですから、ミージュールクニチは供養として行います。
ただし沖縄本島地域のお墓参り行事と言えば、春先の清明の節気に行われるシーミー(清明祭)です。コチラはどう扱うのでしょうか。
【 沖縄のミージュールクニチ 】
★ シーミー(清明祭)は、言葉に「祭」が入っているように、同じお墓参り行事でもお祭りの意味合いがあります。お供え物も紅白かまぼこを用いるなど、お祝いのお重の詰め方です。
・ ですので、喪中の家庭ではシーミー(清明祭)は行いません。けれどもジュールクニチ(十六日)のお墓参りは、行うことができます。
ちなみにジュールクニチ(十六日)も、お仏壇にはジューバク(重箱)料理のウサンミ(御三味)を用意しますが、コチラは法事用の詰め方で用意をします。
結び昆布ではなく返し昆布、紅白かまぼこは避けて白かまぼこのみ、おもちは餡子を入れたり色付きのものは避け、白もちのみを奇数個詰める…、と言った具合です。
ミージュールクニチが忌中の場合
地域によっても違いがあり、判断が難しいのが忌中に迎えるミージュールクニチです。
ちなみに「忌中」とはシジュウクニチ(四十九日)前のことを差します。ですから仏教的には(浄土真宗など、一部宗旨宗派を除く)、故人はまだ成仏していません。
【 ミージュールクニチが忌中の場合 】
★ この場合には、多くの地域でジュールクニチも行いません。
・ …と言うのも故人が亡くなって一年内の「喪中」は遺族が悲しみを癒し、喪に服す期間です。一方忌中は、遺族もまた「穢れ」のなかにあり、周囲へ「穢れ」を移さぬように、気をつけなければなりません。
沖縄では「死」を「穢れ」と取り、故人をお墓へ納骨する際にも、天にその「穢れ」を隠すように、黒傘を差す慣習があります。ですから、穢れのある期間は、周囲への配慮が必要とされてきました。
また故人が成仏していない忌中は、故人はお墓と家を行き来している状態とされます。
生きている人々(イチミ=生身)もまた、この期間には「むやみにお墓に近づくことで引っ張られてしまう…。」などの言い伝えもあり、どちらかと言えば、忌中には行わない家庭が多いです。
初めてのジュールクニチが忌中の場合、翌年のジュールクニチを「ミージュールクニチ」とする家庭を多く見受けます。
三年忌(三回忌)までのさまざまな慣習
このように故人が初めてジュールクニチを迎える一年目は、「ミージュールクニチ」として、お墓参り行事を行うのですが、三年忌(三回忌)までは、地域によって習わしもさまざまです。
【 三年忌(三回忌)までのさまざまな慣習 】
① 三年忌(三回忌)まで、ジュールクニチ(十六日)を丁寧に行う。
… お墓参りからお仏壇のお供えまで、親族を招く規模は小さくなっても、キチンと行います。
② お墓の掃除のみで済ませる。
… 一年目のミージュールクニチは親族も招いて盛大に行い、その後は三年忌(三回忌)までお墓には行くものの、掃除のみで簡単に済ませます。
③ ミージュールクニチのみ行う。
… ジュールクニチ(十六日)を行うのは初めて迎えるミージュールクニチのみとし、その後はお墓参りも行わない家庭です。
③のミージュールクニチのみ行う家庭では、翌年の喪明けから、お祝いの意味合いが強いシーミー(清明祭)で、お墓参りを行います。
いかがでしたでしょうか、今日は来る旧暦一月十六日のお墓参り行事「ジュールクニチ(十六日)」について、拝む人々についてお伝えしました。
ミージュールクニチについては、特に三年忌(三回忌)までの判断になると、さまざまな意見があるので戸惑う方も多いのではないでしょうか。
できれば、おばぁが元気に御願行事を行ってくれている内に、それぞれの家庭で息づいている習わしを確認しておくと安心です。
ミージュールクニチはお盆と同じく、とても丁寧に盛大に行うことが多いですよね。ジュールクニチやミージュールクニチの拝み方・進め方は別記事でお伝えします。
「ジュールクニチ(十六日)を進める☆お供え物や拝み方」でお伝えしていますので、コチラも参考にしてください。
【 ジュウルクニチに役立つ記事 】
・「ジュールクニチ」は「あの世の正月」☆拝む人々とは
・沖縄のお墓参り☆本州とは違う習わしと拝み方
・シルカビやウチカビ☆作り方や使い方5つの豆知識
・沖縄の重箱料理「ウサンミ」☆供える時の習わしとは
まとめ
ジュールクニチ(十六日)を行う人々
・「グソー(後生=あの世)の正月」
・宮古や久米島、離島地域に広がるお墓参り行事
・本島地域ではシーミー(清明祭)が多い
・離島出身者も三重城の遥拝所で拝みを捧げる
・喪中の家族は本島でも拝みを捧げる
・故人が初めて迎える時は「ミージュールクニチ」
・三年忌までは地域や家庭によって判断が違う