沖縄のお墓参り☆本州とは違う習わしと拝み方
沖縄のお墓参りは、本州とは違う独自の習わしが多いですよね。そもそも、本州ではいつでもお墓参りができますが、沖縄ではお墓参り行事以外でのお参りは、あまり良しとしません。
さらに最近は霊園が増えてきて、その様相も変化しつつあるものの、昔ながらの大きな沖縄のお墓は、本州のものとは全く違います。
左側(向かって右側)にお墓の守り神様がいるのも、沖縄ならではですよね。沖縄のお墓参りでは、まずこの神様へ手を合わせるのが習わしです。
そこで今日は、沖縄のお墓参りならではの独自の習わしを、拝み方の流れと共にお伝えします。ぜひ、参考にしてください。
沖縄のお墓参り☆
本州とは違う習わしと拝み方
沖縄のお墓を守る「ヒジャイガミ」
沖縄のお墓の左側(向かって右側)には、ヒジャイガミ(左神)様がいますので、沖縄ではお墓参りに来たら、最初にヒジャイガミ様へ、今日来た理由をお伝えします。
【 沖縄のお墓参り:ヒジャイガミ様への拝み方 】
① ウサギムン(お供え物)をして拝みます。
…ウサギムンはその時々で違いますが、最もシンプルな拝みでは、お酒・シルカビ(※1)の他、花米(カラミハナ=生米)などを供えることもあります。
② ヒラウコー(沖縄線香)を拝してください。
…多くの拝み事では、タヒラ(二枚=日本線香12本)です。後ほどお伝えしますが、最近では火を灯さない「ヒジュルウコー(冷たい線香)」で拝する方が増えました。
③ 本日、お墓参りに来た理由を伝えます。
… 「ウートゥートゥー ヒジャイヌガミガナシー、本日は〇〇の日でございます。
これから皆でお墓の掃除をし、御先祖様に〇〇のご案内をいたしますので、どうぞ何事もなく、立派に終わらせてください。」
…などと、理由を説明してお見守りくださいますよう、お願いをしてください。
④ ウハチ(御初)をお出しします。
… ウサギムン(お供え物)がジューバク(重箱)おかずの場合、ジューバクからおかずを数品取り出しひっくり返して、ジューバクの上に乗せ、「ウハチ(御初=初めてお出しする御馳走)」をお出しします。
⑤ シルカビを焚きます。
… シルカビやウチカビを焚くための火鉢(や金属ボウル)、「カビバーチ」で、シルカビを燃やし、燃え尽きた頃にお供えをしていたお酒を掛けてください。
…以上です。④のウハチ(御初)は、ジューバク(重箱)料理のウサンミ(御三味)を持参する沖縄のお墓参り行事(シーミーなど)の場合です。
シンプルなウサギムン(お供え物)で済ませる沖縄のお墓参りであれば、この工程はありません。
(※1)の「シルカビ」は神様へ送るお金(対してウチカビは御先祖様へ送るお金です。)、半紙を三枚並べて縦半分に折り、横に四等分に千切って作ります。
(詳しくは、「シルカビやウチカビ☆作り方や使い方5つの豆知識」をご参照ください。)
増えて来た「ヒジュルウコー」
昔ながらの沖縄のお墓参りでは、ヒジャイガミ様への拝みの時、ヒラウコーに火を灯して拝み、シルカビをカビバーチ(※2)で焚いて、最後にカビバーチに供えたお酒を掛けます。
けれども最近の沖縄のお墓参りでは、ヒジャイガミ様への拝みをより簡単に済ませる家庭が増えてきました。
【 沖縄のお墓参り、ヒジュルウコーを拝する 】
★ ヒジャイガミ様への拝みで、ヒラウコー(沖縄線香)に火を灯さない「ヒジュルウコー(冷たい線香)」を用いて拝む方法です。
・ ヒジュルウコーでの拝みを捧げる場合には、シルカビの上に枚数のヒラウコー(沖縄線香)を置いて供えます。
沖縄のお墓参りで、ウハチ(御初)を供えた後は…
本来は沖縄のお墓参りでは、ヒジャイガミ様と墓前(御先祖様)、二セットのジューバク(重箱)料理を作るのが良いのかもしれません。
けれどもそれでは、四段×二セットで八段もの重箱が必要になります!大変な量の御馳走を作らなければなりませんよね。
ですから、一セット(おかず重二段・おもち重二段の四段)のジューバク(重箱)で、ヒジャイガミ様と墓前(御先祖様)へのウサギムン(お供え物)を賄えるような、便利な慣習があります。
【 沖縄のお墓参り、ウサンミの慣習 】
① まず、ヒジャイガミ様へジューバク(重箱)料理からウハチ(御初)をお出ししてください。
② ひっくり返してジューバクの上に乗せたウハチ(御初)は、拝みの後にお皿に取り分けて、改めて供えます。ただ、そうするとジューバク(重箱)は、おかずを取り出した「穴」があいてしまいます。
③ ですから予め、ジューバクの「穴」を埋めるための補充のおかず、「ウチジヘージ」を家から準備をしておき、ヒジャイガミ様の拝みの後に補充してください。これでこのジューバク(重箱)料理は、「新しいウサンミ(御三味=御馳走)」として、扱うことができます。
④ ウチジヘージで補充したジューバク(重箱)料理を、続く墓前(御先祖様)の拝みで改めて使用してください。
…このような流れです。そのため沖縄のお墓参りでは、ウサンミ(御三味)は多めに準備をして、タッパーなどに入れて持参をします。
「カビバーチ」で安全にカビアンジ
沖縄のお墓参りでは、ヒジャイガミ様へ送るシルカビや、御先祖様へ送るウチカビなど、燃やす儀礼があります。
そのために沖縄のお墓の右側(向かって左側)には、カビアンジ(ウチカビやシルカビを燃やすこと)の場所を設けているお墓も多いです。…ただ、そんなお墓ばかりではないですよね。
【 沖縄のお墓参りで使う「カビバーチ」 】
★ 「カビバーチ」は、シルカビやウチカビを焚く(燃やす)ための「器」です。
… 昔ながらのカビバーチは陶器などもありますが、近年では金属ボウルに金網、火箸を付けたセットを、スーパーなどで良く見掛けます。
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄のお墓参りで理解しておくと何かとスムーズに進めることができる、基本的な習わしをいくつかお伝えしました。
ちなみに専用のカビバーチがない家庭も多いです。そんな家庭では、金属ボウルに水を張り、ネギなどを入れて代用する様子を多く見受けます。(ずっとお盆なども、この方法を用いている家庭も多いです。)
ちなみに、ネギなど香りの強いものを入れる理由は、ヤナムンやチガリムン(悪疫・悪霊)除けになるからです。
これなら特別にカビバーチを購入しなくても良いので、ぜひ、試してみてはいかがでしょうか。
【 ジュウルクニチに役立つ記事 】
・「ジュールクニチ」は「あの世の正月」☆拝む人々とは
・沖縄のお墓参り☆本州とは違う習わしと拝み方
・シルカビやウチカビ☆作り方や使い方5つの豆知識
・沖縄の重箱料理「ウサンミ」☆供える時の習わしとは
まとめ
沖縄のお墓参りの習わしとは
・まず、お墓を守るヒジャイガミ様へ拝む
・ヒジュルウコーなら、シルカビの上に乗せる
・おかずを補充する「ウチジヘージ」を用意する
・ヒジャイガミ様へ供えた後、おかずを補充する
・続いて御先祖様へ拝む
・シルカビやウチカビを燃やす器「カビバーチ」