沖縄の「首里十二支巡り」とは☆四寺を廻る理由と拝み方
沖縄では「首里十二支巡り(首里十二箇所巡り)」を行う方もいますよね。「首里十二支巡り」は「テラマーイ(寺参り)」とも言われ、十二支の守り本尊を拝んで廻る御願です。
十二支の守り本尊と言えば、大日如来や文殊菩薩などの「仏様」ですので、仏教に倣っています。ただ、独自のちゃんぷる~(混合)な民間信仰が感じられる「拝み方」が、沖縄の特徴ではないでしょうか。
そこで今日は、沖縄の御願文化と仏教がちゃんぷる~(混合)されていますが、沖縄のおばぁやユタさんから伝え聞いて現在に至る沖縄独自の拝み方、沖縄の首里十二支巡りについてお伝えします。
沖縄の「首里十二支巡り」とは☆
四寺を廻る理由と拝み方
首里十二支巡りを行う時
首里十二支巡りは、毎年一年間の家内安全や健康祈願に巡る人々も見る一方、一般的には人生の節目など、「巡る年」に拝む家も多いです。
ただ、首里十二支巡りで参るお寺はどれも、日ごろから年始参りや祈願で拝まれる、地元の人々に馴染みの深い寺院ばかり…。そのため、首里十二支巡りを行わない年でも、自分の干支の寺院は年始参りをする方も多いです。
【 首里十二支巡りをするタイミング 】
① 年末や年始の首里十二支巡り
… 十二支=十二か月として、年末なら今年十二か月の感謝と来年の御加護を…、年始なら今年十二か月の御加護を祈願します。
② トゥシビー(沖縄の厄年)
…以前にも少し触れましたが、沖縄には本州とは違う厄年があります。男女同じく、数え年で13歳から12年毎に訪れるため、次の厄年まで一年毎に守ってくださる干支の守り本尊へ、御加護を祈願するためです。
③ 年忌法要のある年
…故人の追善供養の意味合いで巡ります。仏様へ故人を導いていただけるよう、それぞれの仏様が祀られている寺院で拝むためです。
以上が主な首里十二支巡りのタイミングですが、例えば家屋の新築やリフォームなど、節目の屋敷の御願時にも巡る方々はいます。
これは、十二支は四方八方の方角を表すとされるため、あらゆる方角から屋敷を守ってもらえるよう、祈願するためです。また、トゥシビーの厄年だけではなく、厄年の前後にも首里十二支巡りを行う方はいます。
首里十二支巡りのお供え物
守り本尊は仏様ですのでもちろん寺院なのですが、首里十二支巡りでは沖縄の御願形式に倣った拝みを行う方が多いです。
【 首里十二支巡りのお供え物 】
☆ ウサギムン(お供え物)…
①ビンシーセット(※1)(仮ビンシーでも可)
・奥に対の徳利(お酒)
・奥の中央に盃に入ったお酒
・手前の両脇には花米(※2)
・中央には十円玉三枚と五円玉(×四カ所)②ヒラウコー(平線香)(※3)
・「タヒラ半」の二枚半、日本線香なら十二本と三本
③シルカビ(クバンチン)
・習字の半紙に折り目を付けて、手で丁寧に千切った紙です。今回は、②のヒラウコーの下に敷いて用います。
④果物の盛り合わせ
⑤ウチャヌク(※5)3セット
…を準備してください。
これらのウサギムン(お供え物)は、お盆などにまとめるとお供えしやすいです♪
(※1)「ビンシー(瓶子)」はお供え物がひとつにまとまる木箱です。「仮ビンシー」として、タッパーなどで揃えても、問題はありません。
(※2)「花米」は何もしていないお米粒です。中央に七回水ですすいだ「洗い米」を置く方もいますが、洗い米は故人への供養の時のみ、とする方も多いです。
(※3)「平線香」は沖縄のお線香で日本線香6枚が一枚になっています。
(※5)ウチャヌクはもち粉で作った白餅の三段重ねです。
首里十二支巡りの拝み方
以上のお供えをしたら、拝みの言葉(グイス)を唱えます。グイスと言っても、内容が揃っていれば自分の言葉で問題はありません。
【 首里十二支巡りで拝むグイス 】
「ウートゥートゥー、○○寺の神々しん。
本日、○○市○○○○(住所)、○○(干支)の○○(自分の氏名)が、家族の安全と健康を祈願しに参りました。
花米、清らかなお酒、果報集まる果物とウチャヌクを、香分(※6)と共にお供えをして、拝んでおります。
一日朝夜十二時間、一年十二か月、四方八方、十二の方角から神々様に見守られ、お蔭様で本日まで、穏やかに健やかに過ごしてきました。
どうぞこの一年十二カ月、十二年と、家族みな健やかに、幸せに穏やかに過ごしていけますよう、
ミーマンティー ウタビミスーリー(見守っていてください)、ウートゥートゥー。」
(※6)「香分」はお線香を差していて、「香分」の前に「香り高い」などの枕詞を付ける方も多いです。
拝みの言葉を唱えたら…
以上の言葉を唱えたら、お供えをしていた十円玉三枚と五円玉は、お賽銭箱に入れてください。(ですから四カ所を巡るとなれば、三十五円×四カ所になります。)
【 クバンチン(三十五円)はお賽銭箱へ 】
☆ 入れる時には「どうか不足は、このクバンチンで補い合わせてください。」と仏様へ伝えます。
神社や寺院で拝む時には、ヒラウコー(沖縄線香)はシルカビ(白紙)に乗せたヒジュルウコー(火を付けていない線香)を拝することが多いです。
そのためヒラウコーはそのまま下げますが、次の寺院でまた同じものを出すのは、お下がりになり失礼に当たります。
ですから、次に巡る寺院では新しいヒラウコーとシルカビを供えてください。(ですから、それぞれ四カ所分のヒラウコーとシルカビを用意します。)
☆ 祈願をする家族が遠方に住んでいたら…。
・ 首里十二支巡りを終えた後、那覇市西にあります「ミーグスク(三重城御嶽)」で拝みを行い、「お通し」をします。
いかがでしたでしょうか、今日は首里十二支巡りを行うタイミングや、首里十二支巡りの霊場で行う拝み方やウサギムン(お供え物)をお伝えしました。
ただ、他記事で少し触れますが、沖縄にありながらも巡るのは寺院…、ご住職の意向によっては、「郷に入れば郷に従え」で、仏式の参拝を選ぶことも大切です。
首里十二支巡りは「十二支」と言っても、首里周辺の四寺を巡るだけなので、朝から巡れば一日で終わります。
それぞれの干支の守り本尊や、干支の意味合い、祀る寺院の特色などは、それぞれの記事で少しずつお伝えしていく予定ですので、コチラもぜひ、楽しみにしていてください♪
【 首里十二支巡りの記事一覧♪ 】
・沖縄の「首里十二支巡り」とは☆四寺を廻る理由と拝み方
・首里十二支巡りと干支の開運力①☆「守り本尊」って何?
・首里十二支巡りと干支の開運力②☆未と申の盛光寺
・首里十二支巡りと干支の開運力③☆達磨寺と卯の守り本尊
・首里十二支巡りと干支の開運力④☆卯・戌・亥の達磨寺
・首里十二支巡りと干支の開運力⑤☆酉を司る安国寺
・首里十二支巡りと干支の開運力⑥☆慈眼院その1、子年
・首里十二支巡りと干支の開運力⑦☆慈眼院その2、丑寅
・首里十二支巡りと干支の開運力⑧☆慈眼院その3、辰巳
・首里十二支巡りと干支の開運力⑨☆慈眼院その4、午年記事をアップする毎に、随時リンクを貼って行きます♪
まとめ
首里十二支巡りのタイミングや拝み方
・年忌や法事で巡る
・毎年の年始の挨拶に巡る
・トゥシビーの厄払いで巡る
・新築など節目の屋敷の御願で巡る
・ビンシーとお供え物を用意する
・住所と干支、お供え物と祈願内容を述べる
・三十五円はお賽銭箱に入れる