ジュウルクニチ(十六日)を進める☆お供え物や拝み方

ジュウルクニチ(十六日)は沖縄では「あの世の正月」、主に離島地域に広がる、お墓参り行事ですよね。
先日の記事「『ジュールクニチ』は『あの世の正月』☆拝む人々とは」でお伝えしたように、年中行事としての慣習だけではありません。
沖縄本島地域では、家族を亡くして初めて迎えるジュウルクニチは、故人を供養するために、日ごろはお墓参りに行かなくても、行う家庭が多いです。
そこで今日は、旧暦一月十六日に行う、主に離島地域のお墓参り行事、「ジュウルクニチ」のウサギムン(お供え物)や拝み方をお伝えします。
ジュールクニチ(十六日)を進める☆
お供え物や拝み方
ジュウルクニチは、旧暦一月十六日
ジュウルクニチは旧暦一月十六日に行い、新暦2019年では二月二十日に当たります。
毎年行う離島地域のウサギムン(お供え物)と、故人が初めて迎えるジュウルクニチ(これをミージュウルクニチと言います。)のウサギムン(お供え物)は変わってきますので、注意をしてください。
【 ジュウルクニチ、お仏壇のウサギムン(お供え物)】
① 離島地域など、慣習として拝む場合 …
・日ごろのお供え物 … 左右に一対、二杯のウチャトウ(お茶)・中央にお酒・供え花
・果物の盛り合わせ … 多くは向かって左に供える
・ムィグワーシ(お菓子)の盛り合わせ … 多くは向かって右…、果物の盛り合わせと左右対称に供える
・供え膳 … お皿におかずを盛りつけて膳の上に配膳し、お箸とウチカビを添えて供える
※ ウチカビの枚数は拝みで使う分です。家長を5枚、その他の家族は3枚として、準備をしてください。
② ミージュウルクニチとして拝む場合 …
《 慣習としてのジュウルクニチと同じウサギムン(お供え物) 》
・日ごろのお供え物 … 左右に一対、二杯のウチャトウ(お茶)・中央にお酒・供え花。
・果物の盛り合わせ … 多くは向かって左に供える。
・ムィグワーシ(お菓子)の盛り合わせ … 多くは向かって右…、果物の盛り合わせと左右対称に供える。
《 ミージュールクニチならではのウサギムン(お供え物) 》
・ジューバク(重箱)に詰めたおかずの「ウサンミ(御三味)」 … おかず重2箱、おもち重2箱のチュクン(二セット)を用意します。
・お重の上にはお箸(御先祖様が複数であれば、複数膳)、ウチカビを添えてください。
・お盆のようにミグイドゥール(灯篭)を左右に一対置きます。
※ コチラもウチカビの枚数は、慣習としてのジュウルクニチと同じ(家長5枚、家族3枚)です。
ミージュウルクニチのウサンミ(御三時)は、お餅は白餅のみの「法事用の」ジューバク(重箱)を用意し、おかず重→もち重→おかず重→もち重と、交互に並べて供えてください。
沖縄のジューバク(重箱)料理も奥が深いですよね。「沖縄の重箱料理「ウサンミ」☆供える時の習わしとは」で、より詳しくお伝えします。
【 お仏前、ヒラウコー(沖縄線香)の本数 】
☆ …拝みの時に拝するヒラウコーは、家長がタヒラ(二枚=日本線香12本)です。
・ その他、その場に集まった家族や親族は、一人につき半ヒラ(半分=日本線香3本)として、用意をします。
ジュウルクニチ、ヒジャイガミへの拝み方
家内のお仏壇も大切ですが、ジュウルクニチではお墓参りをして案内を掛けますので、お墓でも拝みますよね。お墓でのウサギムン(お供え物)、拝み方をお伝えします。
【 ジュウルクニチ、お墓での拝み方 】
★ 沖縄ではお墓参りの際、ジュウルクニチに限らず、まずお墓の向かって右側(お墓からは左側)におわします、「ヒジャイガミ(左神)」様へ拝み報告してから、御先祖様に拝みます。
《 ジャイガミ(左神) 》
① ウサギムン(お供え物) … お酒とシルカビ一組(※1)、ヒラウコー(沖縄線香)はタヒラ(二枚=日本線香12本)です。
② 拝み方 …
「ウートゥートゥー ヒジャイヌガミガナシー、いつもお墓をお見守りくださり、ありがとうございます。
本日はジュウルクニチの日ですので、お墓の掃除を行いに参りました。
どうぞ、無事に立派に終わらせてください。
…以上です。
(※1)のシルカビは神様へのお金で、御先祖様へ送るウチカビとは違い、半紙三枚を重ねて作ります。
詳しくは以前詳しくお伝えした記事、「シルカビやウチカビ☆作り方や使い方5つの豆知識」を参考にしてください。
また、ヒジャイガミ様へのヒラウコー(沖縄線香)の拝し方ですが、時代と共に少しずつ変わってきました。最近では火を灯さない「ヒジュルウコー(冷たい線香)」を拝する家庭が多いですよね。
こちらも詳しくは、「沖縄のお墓参り☆本州とは違う習わしと拝み方」でお伝えします。
ジュウルクニチ、墓前への拝み方
ヒジャイガミ様へ拝んで報告をしたら、お墓の掃除をした後に、墓前で御先祖様への拝みです。
【 ジュウルクニチ、墓前での拝み方 】
★ 墓前では御先祖様へご案内をしてください。
《 墓前(御先祖様) 》
① ウサギムン(お供え物) … お酒とウチカビ(使用する枚数分)の他、供え花、ミジトゥ(水)、お酒を供えます。ヒラウコー(沖縄線香)はタヒラ(二枚=日本線香12本)です。
② 拝み方 …
「ウートゥートゥー ウヤフジガナシー、
本日、ジュウルクニチの日を迎えましたので、家族みなで家にて御馳走を用意いたしております。
どうぞ、いらしゃってください。」
ジュウルクニチ、お仏壇での拝み方
お墓参りから帰りましたら、お仏壇で拝んだ後、用意していたウサンミ(御三味)からウハチ(御初)のおかずをお出しします。
【 ジュウルクニチ、お仏壇での拝み方 】
① 拝みを捧げる …
「ウートゥートゥ ウヤフジガナシー、
本日の良き日、家族揃って法事の料理を準備し、ジュウルクニチの供養をしておりますので、どうぞお受け取りください。」
② ウハチ(御初)をお出しする …
ジューバク(重箱)から数品を取り出し、ひっくり返して、ジューバクの上に乗せます。
③ カビアンジ(ウチカビを焚く) …
家長が5枚、続いてその他の家族は3枚ずつ、用意していたウチカビを、カビバーチ(ウチカビを焚く火鉢)で燃やし、燃え尽きた頃にお酒を振り掛けてください。
…以上の供養が終わったら、ウサンデーをして(供えていたお供え物を下げること)、集まったみなでお仏前でいただきながら、故人を供養します。
いかがでしたでしょうか、今日は来る旧暦一月十六日(新暦2019年では2月20日)に行う、ジュウルクニチのウサギムン(お供え物)や拝み方についてお伝えしました。
本文中でもお伝えしているように、墓前の拝み方は沖縄独特で、一記事では収まらないほど、さまざまな習わしがあります。詳しくは別記事でさまざまにお伝えしていますので、コチラも併せて参考にしてください。
「カビアンジ」はウチカビを焚く(燃やす)ことですが、ウチカビを焚く火鉢「カビバーチ」などについても、別記事では詳しくお伝えしています。(「沖縄のお墓参り☆本州とは違う習わしと拝み方」)
お家のおばぁやご家族にも聞きながら、ぜひ、故人を供養してください。
【 ジュウルクニチに役立つ記事 】
・「ジュールクニチ」は「あの世の正月」☆拝む人々とは
・沖縄のお墓参り☆本州とは違う習わしと拝み方
・シルカビやウチカビ☆作り方や使い方5つの豆知識
・沖縄の重箱料理「ウサンミ」☆供える時の習わしとは
まとめ
ジュウルクニチの拝み方
・ミージュウルクニチは御三味を供える
・ジュウルクニチはおかず膳を供える
・お墓参りをしてご案内をする
・お墓ではまずヒジャイガミへ報告する
・お墓の掃除をしてから御先祖様を案内する
・帰ったら仏前で拝み、ウサンデーをする