首里十二支巡りと干支の開運力⑨☆慈眼院その4、午年

首里十二支巡りでは、午年の方々も首里観音堂(慈眼院)を参拝しますよね。首里観音堂には午年の守り本尊である勢至菩薩も祀られています。
ただ、聖観音菩薩や不動明王と聞くとピンとくる方も多いですが、勢至菩薩と聞いても、仏教に興味がないと曖昧な方も多いのではないでしょうか。
あまり独尊として祀られることはありませんが、罪から救ってくださるのが特徴です。京都三千院の勢至菩薩は、「お迎えに来ましたよ」と大和座り(跪座=きざ)で前傾されていて、そのお姿が温かいのですよね…。
そこで今日は、首里十二支巡りシリーズ最後、午年の特徴と首里観音堂(慈眼院)に祀られている勢至菩薩についてお伝えします。
首里十二支巡りと干支の開運力⑨☆
慈眼院その4、午年
首里十二支巡り、午年の勢至菩薩
勢至菩薩は「せいしぼさつ」と読み、智慧を司ることで知られています。
「智慧」と言えば学問の神様「文殊菩薩(もんじゅぼさつ=卯年の守り本尊)」や記憶がギュッと凝縮された虚空蔵菩薩が浮かんできますよね。
文殊菩薩と虚空蔵菩薩でも、それぞれ特徴があるように、勢至菩薩も「智慧を司る」と言っても、勢至菩薩ならではの違いがあります。
【 首里十二支巡り、午年の勢至菩薩 】
☆ 『智慧の光をもって、普く(あまね-く)一切を照らし、三塗(さんず)を離れ、無上の力を得る』
・ これは、「観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)」における、勢至菩薩を表した一節で、智慧の光で、「滅罪」へ導く点が大きな特徴です。
ちなみに、観音菩薩が人々を救う力は「慈悲の力」とされています。とかく人間は不安定な存在ですが、勢至菩薩はそんな人々の心を律して、悪行を抑える力があるんです♪
『六道』から人々を救う
困難のなかにいる人々を智慧の光で救済するとされる勢至菩薩は、一周忌を司る菩薩様でもあります。
勢至菩薩はとても具体的な救済を行う菩薩としても特徴的で、『六道』に迷う人々(衆生)を智慧の光で救済するのです。
【 首里十二支巡り、精進を示す勢至菩薩 】
☆ 『六道(ろくどう・りくどう)』とは、人々(衆生)が向かう六つの道を差しています。
・地獄道
・餓鬼道
・畜生道
・阿修羅道
・人間道
・天上
…この六道のなかでも、特に「三悪道」と呼ばれる地獄道・餓鬼道・畜生道に苦しむ衆生(人々)を、普く智慧の光を持って救済する…、具体的な救いの存在です。
☆ 勢至菩薩は、悪事から身を離す、依存から脱却する…などの祈願事に、特に御利益があります。
ちなみに三悪道は最も苦しい世界ですが、それ以外の道も苦しみはつきまといます。阿修羅道は争いですし、人間道は人間界ですよね。
「天上」と言うと天界をイメージするために、幸せな世界と想像する方もいますが、天上も「極楽浄土」ではありません。そのために、楽しみも多い一方で、悲しみ苦しみも持ち合わせています。
「心の世界」として捉える方々もいますが、「六道輪廻(生まれ変わり)」として説かれています。
一尊として祀られることは少ない
首里十二支巡りでも、勢至菩薩を目的として参拝する方はあまり多くはないかもしれません。午年の方々が自身の守り本尊として、拝むケースがほとんどです。
けれども、今までお話したように「滅罪」に秀でた菩薩様で、己を律する祈願事には適していますので、依存などの悩みがある方は、勢至菩薩へ参拝してみてはいかがでしょうか。
…とは言っても、一般的には観音様のように知られる存在ではありませんよね。それは、一尊として祀られることがほぼないからかもしれません。
【 首里十二支巡り、脇侍仏として祀られる 】
☆ 勢至菩薩は阿弥陀如来の向かって左側…、対の(向かって右側)観音菩薩と共に「阿弥陀三尊」として祀られる姿がほとんどです。
・ 前述した「観無量寿経」では水瓶が宝冠に掲げるとされ、五つの髷、左手に蓮華、胸の前で右手で印を結ぶ姿が見られます。
全国的には昭和歌謡「女ひとり」の歌詞で知られる、京都は大原の三千院の阿弥陀三尊が有名です。
【 首里十二支巡り、勢至菩薩 】
☆ 勢至菩薩の梵字は「サク」、真言は「オン・サンザンサク・ソワカ」となります。
・ 勢至菩薩の縁日(一ヶ月のなかでご縁のある日)は二十三夜、お月さまとご縁が深い勢至菩薩だけに、二十三夜は大切にされてきました。
首里十二支巡り、午年の特徴
そんな勢至菩薩が守り本尊となっているのが午年です。ですから午年の年回りにはもちろん、違う干支の年回りでも、午年の方やその家族は、勢至菩薩へ手を合わせに、首里観音堂へ参拝する様子も見られます。
そんな午年ですが、その昔には「馬(午)」はとても速い移動手段でした。
現代でも競馬などで躍動感溢れる馬達の走りを見ていると、エネルギーがみなぎる想いがしますよね。
【 首里十二支巡り、午年の特徴 】
① そんなエネルギーの象徴である午年は、行動力を引き出すとされてきました。一方「頑張り」が効くとされ、「踏ん張る」時にも効果的です。
② 戦や現代では競馬など、「戦い」の場に登場した馬(午)は、「勝負運」を持っています。
③ 風水では南を司り、風水の幸運グッズでは「左向きの馬」が好まれてきました。
…また、潜在能力を引き出す御利益もあるとされるのが、馬(午)ですので、勢至菩薩の助けも借りて、己を律して日々精進し、技術を磨き上げたり、知識を積み上げたい時にも、助けてくれるかもしれません。
いかがでしたでしょうか、本日は首里十二支巡りの霊場、首里観音堂に祀られている勢至菩薩と、勢至菩薩が守り本尊となっている、午年の特徴についてお伝えしました。
首里十二支巡りは、沖縄ではかつては十二カ所でしたが、戦後には五カ所に…、さらに万松院(ばんしょういん)の辞退があり、現代では四カ所です。
場所も首里近くにまとまっているために、一日で巡拝することも、大変ではありません。ぜひ、今年は巡拝してみてはいかがでしょうか。
首里観音堂の順路など詳しくは、「首里十二支巡りと干支の開運力⑤☆慈眼院その1、子年」で詳しくお伝えしていますので、こちらもぜひ、参考にしてください。
【 首里十二支巡りの記事一覧♪ 】
・沖縄の「首里十二支巡り」とは☆四寺を廻る理由と拝み方
・首里十二支巡りと干支の開運力①☆「守り本尊」って何?
・首里十二支巡りと干支の開運力②☆未と申の盛光寺
・首里十二支巡りと干支の開運力③☆達磨寺と卯の守り本尊
・首里十二支巡りと干支の開運力④☆卯・戌・亥の達磨寺
・首里十二支巡りと干支の開運力⑤☆酉を司る安国寺
・首里十二支巡りと干支の開運力⑥☆慈眼院その1、子年
・首里十二支巡りと干支の開運力⑦☆慈眼院その2、丑寅
・首里十二支巡りと干支の開運力⑧☆慈眼院その3、辰巳
・首里十二支巡りと干支の開運力⑨☆慈眼院その4、午年記事をアップする毎に、随時リンクを貼って行きます♪
まとめ
午年の特徴と、守り本尊
・午年の守り本尊は勢至菩薩
・智慧の光で三悪道から衆生を救う
・己を律し、滅罪が特徴の勢至菩薩
・阿弥陀如来の脇侍仏として祀られる
・観音菩薩と共に「如来三尊」
・午は行動力、勝負運に御利益がある
・午は風水で南、左向きに御利益がある