沖縄の旧正月レシピ、その2☆「豚正月」を楽しむ料理
沖縄の旧正月レシピには、豚料理が満載ですよね。もともとお祝いどころか法事でも豚を供えてきた沖縄ですが、特にお正月には「豚正月」と言われるほどでした。
その理由は、その昔の沖縄では豚が何よりの御馳走だったからに他なりません。
トゥシヌユール(大晦日)には、豚を一頭下ろして、血から脂まで、大切に調理、保管したのです。ですから「豚の鳴き声以外なら、全て食べつくす」と言われていますよね。
そこで今日は、沖縄の旧正月レシピ、特に豚肉料理をいくつかお伝えいたします。
沖縄の旧正月レシピ、その2☆
「豚正月」を楽しむ料理
昔の沖縄の「豚正月」
昔の沖縄ではトゥシヌユール(大晦日)に、大切な御馳走だった豚を一頭下ろして、豚のあらゆる部位を料理したり、保存できるようにしました。
戦前くらいの沖縄では年末12月27日頃になると、家で飼っている貴重な豚を下ろす日「クァールシー(豚を殺す日)」があり、旧正月の御馳走に供えたのが、沖縄の「豚正月」の由縁です。
【 鳴き声以外は全て食べつくす 】
① 豚の血は精力を付ける大切な栄養源 …
沖縄の旧正月レシピのひとつが「血イリチー」、野菜などと炒めて、豚の血で味付けをします。
② あばら骨の肉 …
この部位を沖縄では「ソーキ」と言います。「ソーキそば」で有名ですが、昔ながらの沖縄の旧正月レシピでは、冬瓜(とうがん)や大根、昆布などとたっぷりの鰹出汁で煮た、「ソーキ汁」が定番です。
③ 内臓(もつ) …
沖縄の旧正月レシピだけではなく、新築祝いなど、お祝いの席では良く出て来る「中身汁」になります。
④ 豚の耳 …
沖縄では豚の耳と言えば「ミミガー」ではないでしょうか。豚の耳を茹でて塩を振るのが基本ですが、今ではウサチ(酢の物)が多いです。
⑤ 豚の肝臓(豚レバー) …
沖縄の旧正月レシピでは、単純に茹でて塩振りしたものが並びましたが、他にも「チムマチ(肝巻き)」は、血抜きした豚レバーを網油で巻き、照り焼きタレとショウガで煮付けます。
⑥ 豚の脂身 …
昔の沖縄では、豚の脂身も大切な食糧でした。クァールシーの後、脂身からラードを取ったら、「油甕(あんだーかーみ)」に取り置き、日ごろの料理で使いました。
…などなどがあります。その他、豚の三枚肉の煮付けや、豚足を煮付けた「ティビチ」も有名な沖縄の旧正月レシピですよね。
沖縄の旧正月レシピ1では、トゥシヌユール(大晦日)の定番、ソーキ汁のレシピをお伝えしたので、今日は、チムマチ(肝巻き)やミミガーをお伝えします。
豚レバーはお正月の縁起物
昔の慣習が残る地域では、沖縄の旧正月レシピに「豚レバー」は欠かせません。隠れた定番料理です。
【 沖縄の旧正月レシピ、豚レバー 】
★ 沖縄では「肝臓」は「チム」、「チム」は「心」の意味合いもあります。
・ このチムをお供えすることで、家族の心が善きものとなり、家庭愛和を祈ります。
本来は豚レバーを茹でて簡単に塩を振り、ヒヌカンへお供えをしたのですが、それでは現代ではウサンデー(お供え物)を下げても残りがちなので、チムマチにします♪
【 沖縄の旧正月レシピ:チムマチ 】
★ 材料 ★
・豚レバー
・網脂(豚)・照り焼きのタレ … (醤油とみりんを大さじ3杯、砂糖とお酒を大さじ2杯で手作りするのも美味しいです。)
・ショウガ汁
★ 作り方 ★
① 豚レバーはジューバク(重箱)料理のおかずのような、短冊型に切り分けて水に付けておきます(血抜きの作業です)。
② 豚レバーを包むことを想定して、網脂を切り分けておきます。
③ ラッピングをするように、①の豚レバーを②の網脂で包んでください。最後は楊枝などを差して止めておきます。
④ 蒸し器で蒸します。蒸し器を火に掛け、沸騰してから③の豚レバー包みを並べたら、そのまま強火で20分弱ほど蒸してください。
⑤ 照り焼きのタレをフライパンに入れ、軽く沸騰させます。(手作りの場合は、上記の分量を混ぜてください。)
⑥ ④の豚レバー包みが蒸しあがったら、楊枝を抜いて⑤の照り焼きのタレを煮たてたフライパンに入れ、絡めてください。
⑥ 最後にショウガ汁を少々振り掛けます。
…「豚の網脂なんて聞いたことない!」と言う方もいますよね。市場などの肉屋さんへ行けば、置いてあることが多いので、豚レバーを購入する時に、聞いてみてください。
現代でも美味しい、ミミガーレシピ
ミミガーは初めて聞くと少し抵抗がありますが、いざいただくとコリコリとした触感が病み付きで、ファンになる方も多い料理です。
本来のミミガーは、茹でて塩を振っただけなので、現代では味気ないかもしれません。そこで、今多いミミガーのウサチ(酢の物)をお伝えします。
【 沖縄の旧正月レシピ:ミミガーの酢の物 】
★ 材料 ★
・ ミミガー … 今はスライスで売っているので、スライスを1袋用意してください。
・ タレ … 醤油:酒:酢を2:2:1で混ぜてください。混ぜ合わせる程度なので、小さじ2:小さじ2:小さじ1が目安です。
・ ごま油 … 香りづけに少々。
・ 白ねぎ … 1本
★ 作り方 ★
① 白ネギはミミガースライスに合わせて長さを切り分け、それぞれ千切りにしてください。
② ボウルに①とミミガーを合わせ、そこにタレを入れてじっくり和えます。最後にごま油で香りづけをするだけで、完成です♪
…この他、ポン酢をベースに焼き肉のタレ、ラー油とごま油を少しずつ加えて和えたレシピも人気があります。(こちらはピリ辛で、大人向けです。)
【 沖縄の旧正月レシピ:ミミガー 】
★ ミミガーを耳から購入する場合には、最初にしっかりと耳を洗ってくださいね♪ブラシを使っても良いくらいです。毛は火であぶって焼いてしまいます。
・ おすすめは茹でるだけではなく、とんこつスープで煮詰める方法です。
ありがとう
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の旧正月レシピのなかでも、少しめずらしい豚の部位を使用した、「チムマチ(肝巻)」、「ミミガーのウサチ(酢の物)」をお伝えしました。
沖縄の旧正月レシピでは、この他にもソーキ汁と如意素麺(すいぞうめん)をお伝えした「沖縄の旧正月レシピ、その1☆ソーキ汁と如意素麺」があります。コチラも参考にしてください。
そして、今回お伝えした沖縄の旧正月レシピでも、豚の血で味付けをした「血イリチー(チーイリチャーなどとも言います)」は、知らない方はビックリしますよね。
けれども、いただくと意外に美味しく、ファンも多いんです♪またの機会にコチラもお伝えしますので、ぜひ、楽しみにしていてください。
【 年末年始、沖縄の御願に関する記事 】
・ウグァンブトゥチ(御願解き)☆一年の祈願に感謝
・ヒヌカンへ「昇天の拝み」☆年末に行う神様のお見送り
まとめ
沖縄の「豚正月」を楽しむレシピ
・昔の沖縄では豚一頭を下ろしていただいた
・豚の血からモツまで隅まで料理する
・豚レバーは「美しいチム(心)」で縁起物
・豚レバーを網脂で巻いて照り焼きした「チムマチ」
・ミミガーは「ミミガースライス」を使うと便利
・ミミガーと白ネギの千切りの酢の物
・茹でるだけなら、豚骨スープで煮るのも美味しい