「口難はずし」って何?悪口陰口を跳ね返す5つの手順

「口難はずし」って何?悪口陰口を跳ね返す5つの手順

「口難はずし(くちなんはずし)」の拝みは、今では「知る人ぞ知る」沖縄の御願ですよね。少し前までは、お祝い事があると女性がひっそりと行ってきました。

「口難(くちなん)」は「口」から出る「難」で、周囲の人々の悪口や陰口の意味合いです。

「口難は気にしなくなって一人前」とも言いますが、口難が原因の災いは避けたいですよね。そこで今日は、口難を跳ね返す、「口難はずし」の拝みをお伝えします。

「口難はずし」って何?
悪口陰口を跳ね返す5つの手順

「口難はずし」を行うタイミング

もちろん「口難はずし」ですから、「最近、悪口を言われている気がする…。」と心が参っている時に行うのも、問題はありません。ただ、本来の「口難はずし」は個人的な悩みを解決する感覚のものとは少し違っていました。

【 口難はずしのタイミング 】

☆ 本来「口難はずし」は、家にお祝い事があった時に、周囲の妬み・やっかみからくる災難を跳ね返すために行われます。例えば…、

・ 妊娠や出産
・ 新築
・ 仕事で成功

…などなどです。

特に賞をもらったり、世間から評価を受け注目された時などは、口難はずしを行うタイミングです。

グリムの「眠り姫(眠れる森の美女)」でも、お祝いの宴に招待されなかった魔女が、姫に呪いを掛けますよね。これと似たような有名な昔ばなしが、沖縄にもあるんです♪

コチラは、また別記事でお伝えするとして…、もうすでに「口難を受けているな…。」と感じた後でも、口難はずしは有効に働きます。

【 口難はずしを受けた時 】

・急に右肩が重く感じる
・何かとスムーズに物事が進まない
頭がぼーっとする
・体が重い、だるい日が続く
・急にやる気が起きなくなった

…などなどの症状が現れると言われます。

前述したように、「悪口を言われている気がする…。」と思った時に行っても、問題はありません。

口難はずしを行う前に…

ただこの「口難はずし」の御願は、大切なひとつの約束事があります。まず知っておいていただきたいのは、この口難はずしの御願は、相手に跳ね返ってしまうこと…。

口難を受けている当人にとっては、憎々しい相手かもしれませんが、不幸を願う気持ちは極力納めたいですよね。

【 「口難はずし」の約束事 】

① 日の暮れかかる、夕方時に行う

② 「口難はずし」の拝みは、人に見られてはならない

…特に②は大切なのですが、玄関先まで行くために、よくよく周囲を確認しなければなりません。またやはり徳は積みたいもの…、相手に跳ね返って家族ともども苦しめることのないよう、口難を出した相手の名前は、言わない方が賢明です。

口難はずしで拝む神様

日ごろの口難はずしは、台所のヒヌカン(火の神)様がお通しをしてくださいますが、今回の「口難はずしの拝み」では、フールヌカミ(トイレの神様)へ拝みます。

ですから、口難はずし前のトイレの掃除は必須♪ピッカピカに磨いてから、拝んでください。

【 口難はずしで拝む、フールヌカミ 】

☆ 沖縄ではトイレにおわす神様「フールヌカミ」、さまざまな説がありますが、屋敷の御願でも「もっとも力のある」神様とも言われます。

・ 特にこの神様は悪を裁く特徴があり、人々の善悪を見極めて、悪しきものは立ちどころに裁いてしまうのが特徴です。

口難はずしのお供え物と拝み方

フールヌカミはトイレの神様なので、トイレに拝みを捧げます。トイレ内をピッカピカに磨いたら、下記のウサギムン(お供え物)を供えてください♪

【 口難はずしのウサギムン(お供え物) 】

☆ 盆に乗せた、塩・花米(何もしていないお米粒)・お酒(泡盛など)だけ!また、拝んだ後に使うので、ボウルも準備します。

…屋敷の御願や御嶽などの屋外での拝みでは、よく木箱のビンシーを使いますよね。けれども口難はずしでは、ビンシーは用いません

お供え物をしたら、トイレの便座を開き、トイレに向かって拝むように座ってください。そして、拝みの言葉(グイス)を唱えて、フールヌカミへ口難はずしを依頼します。

【 口難はずしのグイス(拝みの言葉) 】

☆ 「ウートゥートゥ、何よりも力を持つフールヌウカミガナシー、(あな尊き、何よりも力を持つトイレの神様)、

ただ今、○○(住所)に住む、○○(干支)の○○(氏名)が、口難を受けているために、清いお酒と塩、お米を供えて拝みを捧げております。

これからは私も、悪しき心、人を陥れんとする心を戒め、人々との和を持って暮らしてまいりますので、口難を良い口へ変えてください

私も、良い心で相手をお迎えしますので、お人からの私や家族への嫉み妬み、悪口陰口、悪しき心を、このフールーから洗い流してくださいますように。

ウートゥートゥー。」

口難はずし、拝んだ後

以上の言葉を唱えた後、口難はずしの儀礼があります。この時、玄関先でも行うことがあるので、夕方時で難しい部分もありますが、外を確認しながら進めてください。

【 口難はずしの儀礼 】

① 最初にお供えをしていた花米やお塩、お酒をおしいだたきます。

・ 「おしいただく」と言うのは、つまんだ手を眉間辺りに持って行き、拝むこと…、お焼香で行う動作です。

② おしいただいた花米やお塩、お酒はそのままトイレの便器へ落として、一度流してください。

③ 続いて、お供え物をしていたお酒で、「ウビナディ(水撫で)」をします。

・ 「ウビナディ(水撫で)」は、左手中指の腹に水(今回はお酒)を付け、そのままおでこ中央に、チョンチョンチョンと付ける儀礼です。

④ さらに、を左手中指の腹に付け、頭のつむじにグリグリと付けてください。

⑤ 残ったお供え物は、準備しておいたボウルに入れます。順番があり、塩→花米→最後にお酒です。

⑥ そのボウルを玄関に持って行き、扉を開けてから玄関先で中身を捨てます

・ この時に、「口難は受けられません、この口難を出した人にお返しします。」と唱えて捨ててください。

⑦ 最後に玄関の扉を閉めますが、この時にも口難が家内に入らないよう、「この戸は、良い心のみ通ります。」と、唱えながら閉めます。

…これで口難はずしの拝みは終わりです。

いかがでしたでしょうか、今日は悪口や陰口を跳ね返す「口難はずし」の行い方をお伝えしました。

一方、口難(悪口や陰口)は人を陥れようとする行為とされ、口難を出した人は、相手に気付かれると、そのまま口難が跳ね返ってくると言われてきました。

今回の口難はずしの拝みは、フールヌカミ(トイレの神様)へ拝みを捧げますが、本文中でお伝えしたように、まずはヒヌカン(火の神)に相談をするのも、良いかもしれません。

その時には、日ごろのように拝みながら「口難を良い口に変えてください。」と相談をしてみてください。

皆が穏やかな心で、スッキリと暮らすことができますように。

まとめ

「口難はずし」の儀礼とは
・仕事の成功や出産など、お祝い事で行う
・夕方に人に見られずに行う
・拝む神様はトイレにいる「フールヌカミ」
・トイレを掃除し、お供え物を供える
・トイレに向かってグイスを唱える
・おしいただいたお米とお酒、塩を流す
・お酒でウビナディをし、塩をつむじに付ける
・残りをボウルに入れ、玄関先に捨てる
・捨てる時にもグイスを唱える
・閉める時には「良い心のみ通す」と唱える