沖縄のタナバタやユンヂチに見る、「日無し」信仰

沖縄のタナバタやユンヂチに見る、「日無し」信仰とは

沖縄ではタナバタ(七夕)と言えば、お盆が近づいたことを御先祖様へお知らせする、お墓参りの日ですよね。そして同時に「日無し(ヒーナシ)」としても、重宝されています。

この「日無し(ヒーナシ)」では、沖縄の人々はより気軽にお墓事を行うことができる日です。

ですからお墓をお引越ししたり、お墓の扉を開くことができるために、「仮墓から本墓へ納骨」する門中や家も見られます。

…ではこの「日無し(ヒーナシ)」とは何なのか…、また、なぜ「日無し(ヒーナシ)」にお墓事をするのか…、現代となれば分からない方も多いですよね。

そこで今日は、沖縄に残るタナバタ(七夕)ユンヂチ(閏月)の「日無し(ヒーナシ)」と、沖縄古来の信仰や考え方についてお伝えします。


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沖縄のタナバタやユンヂチに見る、
「日無し」信仰とは

沖縄のタナバタ(七夕)は「日無し(ヒーナシ)」

一年に一度、織姫と彦星が再開する七月七日の「七夕」は、新暦七月七日に沖縄でも行われますが、旧暦七月七日は沖縄では「タナバタ」…、お墓参りの日です。

冒頭でお伝えしたように、この日にはお盆が近づいてきたことを御先祖様へお伝えして、家へ招待をします。(多くの沖縄の家庭では、お盆当日のお迎えはしません。)

…そしてもうひとつ、一年に一度の「日無し(ヒーナシ)」とされてきました。

【 沖縄のタナバタは「日無し(ヒーナシ)」 】

★ この「日無し(ヒーナシ)」とは、漢字そのまま「日が無い」の意味合いです。

・ これは神様にとって「日が無い」ために、「神様の目が届かない」と言われ、改葬(お墓の引っ越し)や位牌やお仏壇の掃除・交換など、お墓事やお供養事をするのに、丁度良い日とされてきました。

…ただ、全国的には改葬(お墓の引っ越し)があまり良くない事柄と言うのは、何となく理解できるものの、「お墓参りやお仏壇の掃除まで、良くない事とされるの?」と疑問に思う方も多いですよね。

これは風葬の慣習のあったこともありますが、沖縄では決められた行事以外で、むやみにお墓参りをすることを良しとしていません。

また、お仏壇やヒヌカン(火の神)などの神棚のお掃除も、「理由もなく行わない」言い伝えがあるために、決められた日取り以外は掃除をしない家庭も見受けられます。

※ただし、お仏壇や神棚はそんなに長く掃除をせずにはいられない事情もありますよね、ですから、「掃除をする理由」を神様へお伝えすれば、問題ありません。

もうひとつの「日無し(ヒーナシ)」、ユンヂチ

「ユンヂチ」とは「閏月」と書きます。新暦でも2月が29日になる「閏年(うるうどし)」がありますよね。

同じように旧暦でも33カ月毎の月回りで、一年が13カ月になる年があります。…これが「閏月(ユンヂチ)」です。

【 ユンヂチのある一年は、日無し(ヒーナシ) 】

★ 閏月(ユンヂチ)では例えば「五月」が二回訪れます。ですからその月は「無い」月となり、神様の目は届きません。

・ 本来は一ヶ月ですが、沖縄ではタナバタの他に、このユンヂチの一年も日無し(ヒーナシ)とされます。

…ですから、日取りを気にせずにお墓事ができるとして、建墓や改葬(お墓の引っ越し)などのお墓事に重宝されてきました。

一年まるまるが「日無し(ヒーナシ)」とされる閏月(ユンヂチ)は便利ですが、33カ月に一回ですから、一度やって来ると次回まで少し間が空きます。

※ 前回は2017年の旧暦五月が閏月(ユンヂチ)でしたから、次回は2020年度(1月25日~)です。

…この時期に合せにくい場合、沖縄ではタナバタに合わせたお墓事が「安心」と言われます。

…そもそも、お墓事は悪い事?

ただ、そもそも沖縄では本州以上に「死」を「穢れ(けがれ)」と捉えてきた、昔ながらの信仰がゆえに、「神様に隠れてお墓事をしよう」と言う考え方があります。

…これがどちらかと言えば、「祟り」を恐れる意味合いが強い点も、現代では意識して判断する必要もありそうです。

【 昔ながらの信仰を知り、現代に判断する 】

★ 産まれた集落に住み、一生を過ごす昔とは違い、現代では社会人にもなればお供養事を第一に動くことも難しく、親族のスケジュール調整も困難です。

・ そんななか、昔と違い葬儀もその形式に拘らず、故人を偲ぶ心を大切にするようになった現代では、「〇〇(故人)が、日取りで『祟る』だろうか…。」と考える沖縄の人々も増えました。

…そもそも、本州から来る仏教も受け入れるようになった現代の沖縄では、「行きたい時にお墓参りに行き、故人を偲ぶことは、悪い事なのだろうか…。」との疑問も増えています。

改葬(お墓の引っ越し)に関しては、また複雑ですが、お墓事に関しては現代の事情に合わせる柔軟さも必要なのかもしれません。

※ 昔ながらの信仰も理解したうえで、沖縄のタナバタ「日無し(ヒーナシ)」への判断をするのも、現代の流れです。

 

いかがでしたでしょうか、今日はお墓事を行うのに良しとされる日取り、「日無し(ヒーナシ)」、沖縄の「タナバタ(七夕)」や「ユンヂチ(閏月)」についてお伝えしました。

改葬(お墓の引っ越し)となれば、風葬の時代からあるお墓の場合、その魂は「土に宿る」とされるために、あまり良しとはされません。

とは言っても、火葬以降のお墓であれば、本州と同様に割と改葬に対しても非を唱える方はより少なくなります。さらに建墓に至っては、「神様に隠れて行う事柄」なのかどうか…、との疑問も出てきます。

現代の沖縄の無縁墓の増加データを鑑みると、無縁仏になってお手入れが行き届かないお墓よりも、大切に管理されたお墓の方が故人にとっても快適なのでは…、などと想えば、「心かしきたりか…」現代に合わせた判断も必要なのかもしれません。

まとめ

沖縄のお墓事に見る「日無し」とは

・「タナバタ」と「ユンヂチ」が日無しに当たる
・タナバタは旧暦七月七日
・ユンヂチは旧暦で一年が十三か月の年
・お墓事は神様の目の届かない「日無し」に行う
・それは死を穢れとする沖縄の信仰による
・また、沖縄では「祟り」を恐れる傾向がある
・現代の事情に合わせた柔軟な判断も、時には必要

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