ヒヌカンはどんな神様?迎え入れる前の基礎知識
ヒヌカンは沖縄では馴染みの深い神様ですよね。幼い頃から台所に祀られたヒヌカンに向かって拝みを捧げる母親の姿が、すぐに思い浮かぶ方も多いかもしれません。
ただ、あまりに身近な存在だっただけに、あまり意識していなかった方も多いのではないでしょうか。独立したり結婚して、「そういえば…。」とヒヌカンが気になった…、と言う声も多いです。
そこで今日は、沖縄では馴染みの深いヒヌカンについて、改めてお伝えします。ヒヌカンを迎え入れるなら、ぜひ一度読んでみてください。
ヒヌカンはどんな神様?
迎え入れる前の基礎知識
そもそも、ヒヌカンとは
ヒヌカンは「火の神」と書いて「ヒヌカン」と呼びます。火の神の他にも「かまどの神」「家の神(ヤヌカン)」などの名前もある、家の中に住む神様です。
★ ヒヌカンはどんな神様? ★
かまどの神だけに、台所や火を司る神様で、主に女性が拝みを捧げます。
・ ただ、それだけではなく、ヒヌカンは他の神々へ話を通す「ウトゥーシドクル(お通しどころ)」でもあります。
ヒヌカンは天の神々(ウティンヌカミ)などへ、家族の報告もしている、「家の守り神」でもあるのです。また、家(屋敷)にはヒヌカンの他にも、門の神様やトイレの神様など多くの神様が住んでいますが、これらの神様へも「通して」くれる存在です。
代々伝わるヒヌカン
ヒヌカンは主に女性から女性へと引き継がれてきました。台所の神様(かまどの神様)ですから、(今では男性が家事を担う家もありますが…)、女性に近い神様でした。
★ 女性から女性へ伝わる「灰」 ★
女性が結婚をして独立し新しい家に住むと、実母や義母が守ってきたヒヌカンのウコール(香炉)の灰をいただいて、ヒヌカンを継承します。
・ 祀っているウコール(香炉)の灰にヒヌカンが宿っているとされ、灰をいただくことによって、そこにおわすヒヌカンも迎え入れることができるのです。
ですからヒヌカンを仕立てたら、日ごろはむやみに灰を掃除してはいけません。掃除をする時にも「方法」があります。
ヒヌカンの歴史
実はその昔には、ヒヌカンは「ミチムン(三つもの)」などとも呼ばれていました。
★ もともとヒヌカンは「三つの石」 ★
今ではウコールの灰に宿るとされるヒヌカンですが、もともとは三つの石を並べて、これを依り代(神様が宿るためのもの)にしてきました。
・ それ以前には石ではなく、かまど自体をヒヌカンとしてきた地域もあります。
今では台所の片隅にヒヌカンスペースを設けて祀っている家がほとんどです。昔ながらの沖縄の家の造りでは、最初の設計から、ヒヌカンのためのスペースが設けられていることもあります。
ヒヌカンの並べ方
今では地方では大型スーパーなどでも、ヒヌカングッズが販売さている様子も見ますが、仏具店などへ行くと、ヒヌカンを祀るための道具を見つけることができます。
★ ヒヌカンの並べ方 ★
左奥に「ハナイチ(花生)」としてチャーギの葉など、その隣の中央にウコール(香炉)を置き、手前にはウチャトゥ(お茶)、お酒、塩を盛った小皿を置くのが一般的です。
・ ただ、地域や家によっても違いがあり、お酒などを置かない家など、それぞれです。
多くの家でヒヌカンのウコールやお茶碗は「白い陶磁器」が並びますが、実は色や柄に決まり事はありません。
チィタチ・ジュウグニチの拝み
ヒヌカンを仕立てたら、家の女性は毎月一日と十五日に拝みを捧げます。これを「チィタチの拝み」や「ジュウグニチの拝み」などと呼びます。
★ チィタチ・ジュウグニチの拝みとは ★
毎月一日と十五日には、いつものようにウチャトゥ(お茶)やお酒を捧げた後に、小さいお茶碗に山盛りにもった白ウブク(白いご飯)を三膳、お供えしてください。
・ ヒヌカンに今日が一日(十五日)であることを伝え、日々見守ってくださることへの感謝を伝え、「今後もよろしくお願いします。」と祈願をします。
さらにお仏壇がある家では、ヒヌカンの後に同じく拝みを捧げるのが習わしです。白ウブクのお茶碗なども基本的には自由ですが、仏具店などでは丁度良い大きさの白い専用のお茶碗が販売されています。
あああああ
いかがでしょうか、昔から馴染みがあるものの、改めて迎え入れるとなると「実は良く知らないな…。」と気づくことも多いヒヌカンの基礎知識でした!
最後にヒヌカンを迎えたらぜひぜひ、注意して欲しい「しきたり」もあります。それは「ヒヌカンの前で悪口は言ってはいけない。」と言うことです。一人だとついつい、ガス抜きに言ってしまうこともありますよね。
また、家によっては「男性がヒヌカンに触れてはならない。」とすることもあるので、迎え入れる前に改めて確認しておくと、安心できるかもしれません。
【 ヒヌカンを迎え入れる拝み方 】
・【沖縄の御願】ヒヌカンを新しく仕立てるには?
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・【沖縄の御願】ヒヌカンの灰、引き継ぐための拝み方は?
・【沖縄の御願】ヒヌカンの置き方。各地で違う供え方とは
まとめ
改めて知りたい、ヒヌカンの基礎知識
・ヒヌカンは火の神であり、お通し処でもある
・ヒヌカンはウコールの灰に宿っている
・母(義母)から娘へと続くのがヒヌカン
・もともとはかまど自体、三つの石だった
・実は白い陶磁器で揃えなくても良い
・毎月一日と十五日に拝みを捧げる
・ヒヌカンの前で悪口はご法度!
・男性は触れてはならない家もある