【沖縄の年中行事】旧暦八月の悪霊や魔物を祓う御願とは

【沖縄の年中行事】旧暦八月の悪霊や魔物を祓う御願とは

沖縄の旧暦八月の年中行事には、物忌みや悪霊祓いの行事が多いですよね。「ヨーカビー」は悪霊祓い、「シバサシ」は物忌み行事があります。

本州でも新暦ではありますが、八月の夏休みにはお盆があるからか、もののけや霊が多いとも言われ、怖い話やお化け屋敷も盛んです。

沖縄では集落の年中行事になっているヨーカビーは、少しずつ見なくなってきましたが、今でも家庭でも拝む沖縄の年中行事、「シバサシ」は八月カシチーと一緒に行われたりします。

そこで今日は、旧暦八月の沖縄の年中行事、悪霊祓いのヨーカビーやシバサシについて、沖縄の火の玉の言い伝えとともにお伝えします。ギリギリになってしまいましたが、今日まで…、ぜひ、参考にしてみてください♪

【沖縄の年中行事】旧暦八月の悪霊や
魔物を祓う御願とは

ヨーカビーやシバサシはいつ行う?

沖縄の年中行事は旧暦で行いますが、ヨーカビーやシバサシも変わりません。

シバサシは同じく旧暦八月の沖縄の年中行事である、「八月カシチー(ハチグァッチカシチー)」と時期が重なるため、一緒に行う地域も多いです。

【 沖縄の年中行事、ヨーカビーやシバサシの日程 】

ヨーカビー … 旧暦八月八日~十一日、2018年の新暦で言えば9月17日~20日に当たります。

シバサシ … 旧暦八月九日~十一日、2018年の新暦では9月18日~20日です。

ちなみに、2018年の新暦9月20日はお彼岸の入り日となり、旧暦八月は何かと忙しい時期でもあります。

また、冒頭でお伝えしたように八月カシチー(ハチグァッチカシチー)はシバサシと同じ時期です。

ヨーカビーでは何をする?

前述したように、実はヨーカビーは集落行事に近いもので、家庭での特別な拝みはありません。ただ、火の玉が上がった家では「チグトゥ」と呼ばれる厄払いを行います。

【 沖縄の年中行事、ヨーカビー 】

★ ヨーカビーの夜には、集落が見渡せる高台などに登って、街を見回り、火の玉や物音がする家はないかを確認するのが習わしです。

・ 火の玉が上がっていたり、物音がする家では爆竹を鳴らします。この爆竹を鳴らすことで、「悪霊を追い払う」とされています。

「物音」は一節では、「棺を作っている音」とされ、火の玉が上がる家では近々死者が出ると言い伝えられてきました。

このヨーカビーの夜に上る火の玉は、特別セジが強い(霊感がある)人しか見えない訳ではなく、誰でも見えるとか…。

沖縄のではヨーカビーに見る火の玉を「イニンビー(遺念火)」と呼びます。

家に上る「イニンビー(遺念火)」って?

沖縄では年中行事だから行うだけではなく、昔から各地でイニンビーの話が言い伝えられています。(首里識名坂や北谷謝苅坂など)意外にも実際に見た人も多いのが特徴的です。

【 沖縄の年中行事、イニンビーとは 】

★ イニンビー(遺念火)は、その名前の通り、死者の念です。「念」と言ってもさまざまなものがありますが、「怨み」などの怒りの念が強くなります。

・ そのため恐れられてきましたが、実際には動き回ることはできずに、その辺りに浮いているのみ…、人への害は少ないと言う説も根強いです。

前項で「火の玉はセジが強くなくとも見える」とお伝えしましたが、最近では夜中もお店の灯や街頭が付いて明るく、すっかり見にくくなりました。

シバサシで、家内を守る

続く悪霊祓いの儀式が「シバサシ」です。ただ、シバサシはヨーカビーのように「祓う」のではなく、家に結界を張って侵入を防ぐ物忌みの意味合いがあります。

どちらかと言えば、集落に結界を張る「シマクサラシ」などの沖縄の年中行事と同じ類ではないでしょうか。

【 沖縄の年中行事、シバサシ 】

☆ シバサシの結界の張り方は簡単で、シバ(柴)を家屋や小屋の四隅に差すだけです。

・ もともとシバ自体が、悪霊を取り除く「ヌンキムン」とされています。

火の玉を見たら、厄払い

ヨーカビーで追い払う「イニンビー」が上がった家では、爆竹だけではなく、ユタさんに判示(判断)をしてもらう家も多くありました。

ただ近代では、家付きのユタさんも少なくなりました。そこで一説では、「ハリセン」で悪霊祓いが出来る…、との説もあります。

【 沖縄の年中行事、家庭でできる悪霊祓い? 】

☆ 大きな紙を二枚、山折り・谷折り…と追ってハリセンを作り、家族の体を上から下、下から上へと螺旋状に叩いて行くだけです。

…ただこれもあくまでも一説、気になる方はユタさんにお祓いをしてもらってください。

いかがでしたでしょうか、今日は旧暦八月に行う沖縄の悪霊祓いの年中行事、ヨーカビーとシバサシについてお伝えしました。

先祖崇拝信仰が深く根付く沖縄では、死者の霊が昔から信じられています。

人々の会話でも、誰かが「お仏壇に〇〇を供えてくれって言うからさ~」なんて言っても、「今日にでもあげたらいいよ」なんて、普通に会話が続いたりします。

イニンビーは妬み怨みを持つ死者の念なので、怖い側面がありますよね。本州と同じく、夏の旧暦八月は霊が出やすいとも言われますので、この時期はマース袋などの「ヌンキムン」を常備してみてはいかがでしょうか。

まとめ

旧暦八月、沖縄の悪霊祓いとは

・旧暦八月八日~十一日がヨーカビー
・旧暦八月九日~十一日がシバサシ
・集落を見渡して火の玉を見る
・火の玉が上がれば、爆竹で追い払う
・火の玉が上がった家は悪霊祓いを行う
・イニンビーは死者の怨みなど「悪しき念」
・家屋や小屋の四隅にシバを差すのがシバサシ
・シバを差して結界を張り、侵入を防ぐ