ヒヌカン

【沖縄の御願】ヒヌカン、沖縄各地に広がる5つのタブー

【沖縄の御願】ヒヌカン、沖縄各地に広がる5つのタブー

ヒヌカンは家を守るかまどの神様、古くから沖縄の主婦に寄り添ってきましたよね。今ではヒヌカンを祀る家も少なくなりましたが、トートーメー(位牌)のある家には、セットで祀られています。

けれどもその一方で、旧暦の年末には天へ帰り、その家の良い事も悪い事も神様へ報告する一面を持っています。そのためか、人々はヒヌカンに畏怖の念を込め、あらゆるタブーが言い伝えられてきました。

出来る限りタブーは避けたいですよね。そこで今日は、沖縄のヒヌカンに古くから伝わるタブーの数々を、5つのカテゴリーに分けてお伝えします。

【沖縄の御願】ヒヌカン、
沖縄各地に広がる5つのタブー

人々の「言葉」に関するタブー

ヒヌカンにおけるタブーで最も知られている言い伝えは、「ヒヌカンの前での悪口や不満を言うべからず」と言うもので、これは全国的に祀られているかまどの神様にも見られます。

【 ヒヌカンの前で言ってはいけない事柄 】

・ 人々の愚痴や悪口
・ ヒヌカンの前で子どもを叱ること
・ 喧嘩や公論、特に夫婦喧嘩
・ 嘘をつくこと
・ 乱暴で悪い言葉
・ 「耳」に関する悪口(一部離島)

最後の「耳」に関する悪口は、久米島などの一部離島地域でしばしば見受けられる言い伝えで、その地域ではヒヌカンは「耳が悪い」とされているため、「耳への悪口厳禁」と言うのが理由です。

ヒヌカンへの拝みに関するタブー

続いて、ヒヌカンへ拝む時のタブーをお伝えします。

ちなみに少し話は反れますが、ヒヌカンへの祈願は「世界の幸せを願うことで自分達の平和も叶えられる」とするものです。

そのため「ミーマンティーウタビミスーリー(見守ってください。」と日々の平和を願うもので、お金が欲しいなどの個人の願い事は、避けることをおすすめします。

【 ヒヌカンを拝む時のタブー 】

・ ヒラウコーを拝する時のおしゃべり(北部)
・ 殺生となる肉・魚を供える行為(北部)

などなどのタブーがありますが、どちらも一部地域の言い伝えで全島に広がる習わしとは限りません。

ヒヌカンの扱いに関するタブー

ヒヌカンの神様はウコール(香炉)の灰に宿るとされ、「むやみに灰の掃除をしてはならない」との習わしがあります。そのため、ヒヌカンの灰を整える時には事前に理由を伝えてから始めるのが一般的です。

【 ヒヌカンの扱いに関するタブー 】

・ ヒヌカンを足蹴(あしげ)にすること
・ 汚れものやゴミをヒヌカン廻りに置かない
・ ヒヌカンの背後にビンなどを置くこと
・ ヒヌカンをまたぐこと

…この他にも、「男性は触れてはならない」「家の者以外の人々がむやみに触れてはならない」なども広く伝わるタブーです。

また「ヒヌカンの背後にビンを置かない」では、そのビンにヒヌカンが隠れて火事を起こす(久米島)などの言い伝えもあります。

ヒヌカンの前でしてはならない事

最初の項でお伝えしたように、ヒヌカンのタブーと言えば、悪口や不満・愚痴を言わないこと…、が、最も広く伝わっていますが、その他にも下記のようなものがあります。

【 ヒヌカンの前でのタブー 】

・ 洗い髪や乱れ髪で立つこと
・ ヒヌカン前で食事をすること

…この他にも、ヒヌカンを大切にする心があればしないこと…、「ヒヌカンの前でおならをしない」などのタブーにも、注意をしてください。

ヒヌカンの仕立て方に関するタブー

ヒヌカンは台所の一角に祀られる神様でコンロ脇が多く、沖縄の家屋では最初からヒヌカンを祀るスペースを設けた設計も多く見られます。

ただ、一部地域では「ヒヌカンを祀る位置」に関するタブーもあるのです。

【 ヒヌカンの位置でのタブー 】

・ できるだけヒヌカンの移動をしない(南部地域)
・ 門と向かい合う位置で仕立てること(一部地域)
・ 「申」の方角に仕立てること(一部離島)

…などなど、特に門と向き合う位置に仕立てることは避ける地域は多く見受けられます。

いかがでしたでしょうか、今日はヒヌカンに関するタブーを5つのカテゴリーに分けて、できるだけ多くのものをお伝えしました。

ただ、さまざまな地域や家で伝わるタブーをまとめていますので、個々の家ではその全てがタブーとは限りません

全国に広く伝わるタブーとしては、「悪口や不満」「男性や家族以外の者が触れるのは禁止」「むやみにヒヌカンの灰をいじらない」の三点です。

トートーメー(位牌=御先祖様)と対で祀られる家が多いヒヌカンですが、拝みの際にはトートーメーよりも先に、最初に拝むことにも注意をしてください。

まとめ

ヒヌカンに伝わるタブーとは

・愚痴や悪口、不満を言わない
・ヒヌカン前での口論、怒号を避ける
・ヒヌカン前で嘘を付かない
・またがない、足蹴にしないなど、大切に扱う
・ヒラウコーを拝する際は話さない
・門と向き合う位置で祀らない
・男性や家族以外の者は触れない
・むやみにヒヌカンの灰をいじらない