旧暦十三日は関帝の拝み☆拝所と拝み方

旧暦十三日は関帝の拝み☆拝所と拝み方

沖縄で関帝王への拝みは「正五九月(旧暦一月・五月・九月)」の十三日です。全国的なものと同じく、沖縄でも関帝王は金銭や商売の神様として知られていますよね。

特に那覇市久米近郊の旧家の人々には、昔からの神様として信仰が厚く、多くの家庭で床の間に関帝王を祀っています。

現在では那覇市久米近郊地域だけではなく、金銭(ジングトゥ)の神様として、自営業やフリーランスの方、「立身出世、収入アップ」として一般的なサラリーマン家庭まで、拝みに訪れる方々が増えています。

特に旧正月明けの旧暦一月の初御願(ハチウグァン)は、一年を祈願です。ぜひ、金銭事は関帝王に拝み、安定した暮らしがしたいですよね。

旧暦1月13日は新暦2019年では、2月17日(日)♪

そこで今日は、旧暦一月・五月・九月の十三日に関帝王をお祀りしている家庭で行う、「ジューサンヤ(十三夜)の拝み」をお伝えします。

旧暦十三日は関帝の拝み☆
拝所と拝み方

沖縄の床の間の神様

本州の関帝王と言えば横浜であるように、もともと関帝王は中国の金銭の神様です。

沖縄では中国の職能集団「久米三十六姓」と共に、明の時代に中国からやってきました。沖縄では有名な「久米三十六姓」は、中国で特別な知識や技術を持つ人々を差しています。

【 沖縄の床の間の神様 】

☆ この久米三十六姓が商売繁盛の祈願として、関帝王を祀るようになったのが始まりです。

・ 沖縄では信仰する神様は床の間にお祀りしますが、関帝王の他にも観音様など、それぞれの家で床の間にお祀りする神様が違います。

…そして、それぞれの神様で拝みの日が振り分けられているのも特徴です。例えば、関帝王への御願は旧暦十三日が拝みの日ですが、次に多い観音様への拝みは旧暦十八日となります。

☆ 沖縄で「ジングトゥ」と言えば関帝王…、「ジングトゥ」とは「金銭事」です。一方、観音様は子どもを見守る神様とされてきました。

関帝王のいるところ

関帝廟

このように特に那覇市久米の旧家に関帝王信仰が厚いことでも分かるように、関帝王は那覇市久米、「久米至聖廟」にいらっしゃいます。…ただ、その信仰の割には関帝王は、独立して祀られている訳ではありません。

そのために横浜の関帝王を知る観光客の方々は、その違いに戸惑うことが多い…、との声も聞こえます。

【 沖縄の関帝王 】

☆ 久米至聖廟に入ると、まず大きく祀られているのは孔子廟、それに付随して、天妃廟と天尊廟がありますが、この天尊廟内に祀られているのです。

・ しかも天尊廟内の向かって左側には龍王が、右側に関帝王ですので、天尊様に従っているようですよね。その祀られ方に驚く方もいます。浜の関帝王と違う?

…ですから、本州から久米至聖廟に来た方が「海の安全を祈願する神様らしい」(龍王様と混合されて伝わっています)などと言われることもありますが、これもムリはありません。

そもそも龍王と共に海近くに祀られていますし、関帝王自体、全国的なイメージとは懸け離れているからです。

【 横浜と沖縄の関帝王 】

☆ 関帝王と言えば横浜ですが、横浜の関帝王は、怖い顔をした真っ赤なお肌の関帝王が左右に従者(周倉や関平)を携えて、どっしりと鎮座されていますよね。

・ けれども沖縄では従者も従えず、反対に孔子に付随する形で龍王様と左右に祀られている上に、生きている時代の関帝王である「関羽」の伝説で有名な、青龍堰月刀も持っていません。

さらに横浜の関帝王のように大きくないため、迫力も薄れているようです…。けれども、沖縄では確かに関帝王信仰が深く現代まで残っており、正五九月の十三日には、ジューサンヤ(十三夜)の拝みが見受けられます♪

関帝王の拝みは「正五九月」の十三日

関帝王に限らず、沖縄で床の間に祀られる神々への拝みは、主に「正五九月」と呼ばれる、旧一月・五月・九月に行われます。

【 関帝王への拝みはいつ? 】

☆ 関帝王の拝みの日は旧暦十三日ですから、毎年三回、旧暦一月十三日、五月十三日、九月十三日です。

・ さらに家での御願は月が昇り始めてから、関帝王の拝みも始めるのが習わしですので、日中は久米至聖廟へお参りに行く家庭もあります。

「正五九月」は「正月・五月・九月(旧暦)」です。この月は忌むべき月として、神様へ手を合わせ、無事に過ごせますよう祈願をします。

ひと月の三十日に、それぞれの神様

沖縄の御願行事は中国からの影響が強いです。こちらは中国のお話ですが、西暦900年代の昔の時代、とある禅師があまりに多い仏様に、「どちらに向かって拝めばよいのでしょうか?」と仏様へ問います。

すると複数の仏様が夢枕に現れ、ひと月三十日にそれぞれの仏様を割り当てられました。…これが「三十日秘仏」です。

【 ジューサンヤ(十三夜)とジューハチヤ(十八夜)の、「三十日秘仏」 】

☆ そこで幾多の仏様は、「関帝」は十三日に、「観音様」は十八日を縁日(※1)としました。

・ ですから沖縄ではジューサンヤ(十三夜)とジューハチヤ(十八夜)が主な御願行事ですが、他の仏様を祀っている家庭では、それぞれの縁日に合わせて御願を行います。

※1の「縁日」とは、それぞれの仏様とご縁が深くなる日を表し、お寺の境内で行う「縁日」も、本来はその仏様への御願行事の意味合いが強いです。ちなみに、他の仏様の「縁日」は以下のようなものがあります。

【 ジューサンヤ(十三夜)とジューハチヤ(十八夜)以外の「縁日」 】

・薬師如来 … 8日
・金比羅大神 … 10日
・阿弥陀如来 … 15日
・地蔵菩薩 … 24日
・不動明王 … 28日

…などなどがあります。

また一方で、神道では「三十番神」の信仰があります。これも仏教で言うところの「三十日秘仏」と同じで、ひと月三十日に神様が割り当てられているんです♪

関帝王への拝み、お供え物

関帝王への御願「ジューサンヤの拝み」では、床の間の関帝王へお供えをしてください。

【 関帝王へのお供え物 】

① お酒 … 徳利と盃、一対を供えます。

② 盛り合わせのお菓子盆 … マキガンなど、昔ながらの御願菓子を盛り合わせますが、今では好きなお菓子を盛り合わせる家も多いです。

③ 盛り合わせの果物盆 … 定番はりんご・みかん・バナナですが、こちらもドラゴンフルーツがあったりと、さまざまな家庭があります。

琉球王朝の時代は、関帝王の像などを祀る家もあったようですが、今では床の間には掛け軸が一般的です。この掛け軸の前にお供えをするのですが、最近では床の間自体がなかったり、神様を祀らずに(宗家へも行かず)、お家で拝む家も増えました。

※ そんな時A4程の小さなスペースに香炉を設ける家も多くなり、(手前味噌で恐縮ですが…)、商売繁盛の拝み絵を置いてくれる方が増えました♪

本当に有難い想いで、感謝しています、ありがとうございます♪

関帝王への拝み方

ヒヌカンへの拝みが欠かせない沖縄では、御願は主に女性が行ってきましたが、関帝王への拝みでは男性(家長)を中心に拝む家も多いです。(ヒヌカンには「男性は触れてはいけない」とのタブーがある地域も多くあります。)

【 関帝王への拝み方 】

☆ 床の間の前、掛け軸の前のウコール(香炉)に、ヒラウコー(沖縄線香)をタヒラ(二枚)拝してください。

・ 家長を中心に、昔ながらのうちなーぐち(沖縄言葉)やグイス(祝詞・クチムンナラーシ=拝みのための言葉遣い)ではなくとも構いません。下記のような内容をお伝えください。

① 本日が旧暦一月の十三日、ジューサンヤ(十三夜)の拝みであること。

② お蔭様で無事に今年もこの日を迎えました、日ごろの御加護に感謝をしています。

② お供え物の内容(盛り菓子と果物の盛り合わせ、黄金(クガニ)のお酒をお供えして)、家族揃って拝みを捧げています。

③ 今年一年も商売繁盛し、家族(門中)が繁栄しますよう、また、家族・一門皆が、健康で安全に過ごせますように祈願してください。

このジューサンヤ(十三夜)の拝みは「夜」だけに、月が昇ってから行うのが良いとされています。一方、日中は関帝廟へお参りをする家庭も多いです。ただし、関帝廟への参拝は(最も大切とされる)九月のみとする家庭も多く見受けます。

いかがでしたでしょうか、今日は旧暦一月・五月・九月の十三日に行う、関帝王へのジューサンヤの拝みについてお伝えしました。このジューサンヤ(十三夜)の拝みは、今では個人的に拝む家庭も増えましたが、もともとは門中行事として行われてきました。

那覇市は久米周辺でしたら、毎回久米至聖廟まで挨拶に行くことも良いですが、遠くて困難でしたら、一度訪ねていれば家での拝みで問題はありません。

旧暦一月十三日に当たる、2019年2月17日(日)ももうすぐです♪

床の間に招き入れた関帝王へ、月が昇り始めたらウサギムン(お供え物)をして手を合わせ、感謝と祈願をしてみてはいかがでしょうか。

まとめ


関帝王へのジューサンヤの拝み

・関帝王は商売や金銭の神様
・那覇市久米、久米至聖廟に祀られている
・旧暦一・五・九月の十三夜に拝む
・2019年は2月17日(日)に当たる
・果物・お菓子・お酒を供える
・お供え物は床の間
・家長を中心に今後の繁栄を祈願する