【沖縄の旧暦四月】害虫払いのアブシバレーや物忌み行事

【沖縄の旧暦四月】害虫払いのアブシバレーや物忌み行事

沖縄の旧暦四月は旧暦五月四日のハーリー大会で盛り上がる、「ユッカヌヒー」を前にして、禁忌が設けられる物忌み行事がありますよね。

この物忌み行事を「山留め(ヤマドゥミ)」「海留め(ウミドゥミ)」などと言いますが、これは沖縄の旧暦四月に行う虫祓い行事、「アブシバレー」より後となります。

現代では一般的に、この物忌みよりも盛大なユッカヌヒーのハーリー大会が注目されがちですが、準備があってこそのユッカヌヒーです(*^_^*)

そこで今日は、新暦2019年5月5日から始まる旧暦四月の年中行事、アブシバレー(虫祓い)と山留め(ヤマドゥミ)、海留め(ウミドゥミ)をお伝えします。

【沖縄の旧暦四月】
害虫払いのアブシバレーや物忌み行事

沖縄の旧暦四月の年中行事

沖縄の旧暦四月の29日間は新暦2019年では5月5日~6月2日に当たります。この時期は物忌み行事なので、どちらかと言えば静かな時期ですが、家庭内ではヒヌカンやお仏壇への拝みは欠かせません。

【 沖縄の旧暦四月の年中行事 】

① 旧暦4月1日(新暦2019年5月5日・日) … チィタチの御願(ヒヌカン)

② 旧暦4月14・15日(新暦2019年5月18・19日・土日) … アブシバレー(畦払い)

③ 旧暦4月15日(新暦2019年5月19日・日) … ジュウグニチの御願(ヒヌカン)

④ 旧暦四月の吉日 … クシユクイ(腰憩い)

⑤ 旧暦4月15日以降~旧暦5月4日(新暦2019年5月19日・日~6月6日・木) … ヤマドゥミ(山留め)、ウミドゥミ(海留め)

現代でも観光客が大勢集まり、盛大に行われるハーリー大会のあるユッカヌヒーとは違い、沖縄でも旧暦四月の年中行事を行う家庭は少なくなりました

このアブシバレー(畦払い=虫払い)やクシユクイ(腰憩い)は、特に農業を営む人々の行事であることも、原因かもしれません。

沖縄の旧暦四月の行事、「アブシバレー」

「アブシバレー」は「畦(うね)払い」(アブシ=畦、バレー=払い)と書くように、虫…、特に害虫を祓う行事です。農村部で重要な行事として行われてきました。

そのためか、農業から離れた現代では、沖縄のこの旧暦行事を行う地域も少なくなりましたが、離島地域を中心に、今でも見受けられます。

【 沖縄の旧暦行事、アブシバレー(畦払い) 】

★ 畦(うね)に草が茂って来るこの時期、農業が盛んだった時代には、草を刈って害虫を駆除すると共に、ゆかりの御嶽などの拝所(うがんじゅ)を巡り拝みました。

・ また、「クファジューシー」と呼ばれる、豚肉と豚肉の茹で汁を出し汁として加えた「沖縄風炊き込みご飯」(その昔では少し固めの雑炊を供えた地域もあります。)を炊き、ヒヌカンやお仏壇へお供えします。

その昔は地域の拝所巡りは、ユタやノロ、神人(カミンチュ)と言った専門職の方々が拝み廻りました。

また、芭蕉などの葉を船型にして虫を乗せ、海に流して「ニライカナイ」へ送る儀式を行う地域もあります。

現代ではすっかり見なくなりましたが、宮古島など離島地域の沖縄では、旧暦行事として今も残っています。

詳しくは「アブシバレーは虫祓いの儀礼☆家庭での供え方と拝み方」、「クファジューシーは豚出汁で☆簡単、炊飯器での作り方」などでお伝えしますので、コチラも参考にしてください。

「クシユクイ」で一休み

沖縄の旧暦四月吉日のこの時期、日々あてどなく続く農作業の一つの区切りとして、大切に扱われてきた沖縄の旧暦行事が「クシユクイ」です。

「クシユクイ」は「腰憩い」を沖縄の言葉にしたもので、名前の通り、「一休み」の意味合いがあります。こちらも、農業が衰退した現代では、あまり見られなくなりました。

【 沖縄の旧暦行事、「クシユクイ」 】

☆ 前項でお伝えした「アブシバレー」と同じ時期、旧暦四月の吉日に、農村部の人々が疲れた体を労わり、お休みを設けて宴を催す日が「クシユクイ(腰憩い)」です。

・ それぞれにあまがしや麦飯、豚肉料理などを持ち寄って宴に興じ、地域によっては闘牛や相撲などの催し物も見られました。

現代の沖縄でも闘牛は「牛オーラセー」と呼ばれ、この時期に行う地域が多いです。

つい最近までは那覇市は国際通り裏に闘牛場が作られ、毎年楽しまれましたが、闘牛場だった土地には現在、公民館(でしょうか…)が建っています。

現代では、うるま市で行われている牛オーラセーが有名でしょうか…。

詳しくは別記事「クシユクイ(腰憩い)を現代に☆仕事発展、御嶽の拝み方」「牛オーラセーは沖縄の伝統娯楽☆昔を残す闘牛の醍醐味」なども参考にしてください。

沖縄の物忌み「ヤマドゥミ・ウミドゥミ」

沖縄の旧暦行事のなかでも「物忌み行事」とされるのが、「ヤマドゥミ(山留め)」と「ウミドゥミ(海留め)」です。

物忌み行事とは、ある一定期間「行ってはいけない」禁忌を伴う行事を差しています。

【 沖縄の旧暦四月、ヤマドゥミ・ウミドゥミ 】

☆ 前述したアブシバレー(畦払い)の後から旧暦四月二十七日までが、山や海へ足を踏み入れてはいけない「物忌み」期間です。

・ 旧暦四月二十七日は、旧暦五月四日の「ユッカヌヒー」で行う「ハーリー大会」の一週間前(七日前)に当たり、この日に、「ハーリーガ二」と呼ばれる鐘が鳴り響きます。この鐘の後から解禁です(*^_^*)

「ヤマドゥミ」は「山留め」、「ウミドゥミ」は「海留め」と書き、沖縄の御嶽の多くは、山中や海岸近くにありますから、この時期には御嶽への拝みも禁忌のひとつとなる地域が多いです。詳しくは別記事「ヤマドゥミ(山留め)は物忌み☆沖縄旧暦四月の禁忌とは」をご参照ください。

 

いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の旧暦四月に行う旧暦行事を、旧暦カレンダーと共にお伝えしました。

ただ、本来の沖縄では旧暦五月四日(来月になりますね)に行う「ユッカヌヒー」や「ハーリー大会」も、GWの観光客の動向に合わせ、新暦で行う地域もありますよね。

全国的に観光イベントとして有名になっている、「那覇ハーリー」などは、新暦五月に行われています。

ただ南部の漁師町などでは、沖縄の旧暦行事が今でも盛んで旧暦五月四日が目安です。ちなみに、旧暦に行うハーリー大会で有名な糸満ハーリー大会は、新暦2019年では6月6日に行われます。
 

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まとめ

沖縄の旧暦四月の年中行事

・旧暦4月1日(2019年5月5日)チィタチの御願
・旧暦4月14・15日(2019年5月18・19日)アブシバレー
・旧暦4月15日(2019年5月19日)ジュウグニチの御願
・旧暦四月の吉日、クシユクイ
・旧暦4月15日~5月4日(2019年5月19日~6月6日)ヤマドゥミ、ウミドゥミ