沖縄のさまざまなお墓。本島とは違う5つの特徴とは

沖縄のさまざまなお墓。本島とは違う5つの特徴とは

沖縄のお墓は全国的なものとは大きく違いますよね。沖縄のお墓は「家のよう」とよく言われます。これは先日お伝えしたように、風葬の名残りがあるから…。(「沖縄の風葬の歴史☆本州とは違う葬送の習わしとは」をご参照ください。)

ただそれだけではなく、沖縄のお墓には「ヒジャイガミ(左神)」様がいるなど、本州のお墓とはまた違う特徴があるんです。

そこで今日は、反響が高かった先日の風葬に引き続き、沖縄のお墓について少し、お伝えしていきます。

そもそも檀家制度のない沖縄ではお墓も御願文化が分かる独特な特徴ですので、ぜひ立ち寄ってみてください♪

沖縄のさまざまなお墓。
本島とは違う5つの特徴とは

沖縄はまだ、個人墓地が主流

明治中期に琉球王朝が終わり、廃藩置県が行われて沖縄では、本州のような檀家制度の歴史がありません

本州では江戸時代は檀家制度によって、ほとんどの人々が菩提寺を持ち、その寺院墓地にお墓を建てることで、寺院がその地域の人々を把握していました(戸籍の代わりのようなもの)よね。

けれども、沖縄のお墓は昔から「個人墓地」に建てられてきました。

【 沖縄のお墓が建つ、個人墓地 】

☆ 「個人墓地」は自分の土地を「墓地申請」した土地です。父方の血族を「門中」と言い、門中の人々が入る「門中墓」などが建っています。

・ その昔は集落のお墓も多く、その集落の裏山に簡単な屋根を設けた「家墓」を建てて、共同で埋葬されたケースも多くありました。

この「門中」はまた複雑で、そのお墓に入れる人や入れない人など…、このしきたりも、今では門中によってさまざまに違うんです。

お墓や位牌の継承は「トートーメー(もともとはお位牌の意味合い)」と言ってとても複雑なので、また別の機会に詳しくお伝えします。

【 変化しつつある、沖縄のお墓 】

☆ 以前は「霊園」と言えば、公営のものばかりでしたが、だいたい20年くらい前からでしょうか…、民間霊園が多く見られるようになりました。

・ 沖縄県でも新規のお墓は個人墓地に建てず、霊園での建墓を推奨するようになり、少しずつ個人墓地から霊園へ移行しつつあります。

個人的に管理するお墓は、掃除や管理も大変!沖縄の昔ながらのお墓は、崖の下や深い森の山中などにあることも多く、墓主は負担も大きいものでした(今でもそうかな…)。

沖縄の昔ながらのお墓が、崖下にあるのは横堀り式のお墓が残っているため…、さらに風葬の歴史から、人が日ごろ入らない辺境地にあることも多いのです。

沖縄では古いお墓はアジ墓などとも言い(琉球のお墓も「按司墓=アジ墓」と呼ばれます。)、お墓参り行事である「清明祭(シーミー)」前の「カミウシーミー」でお墓参りをすることもあります。

大きな沖縄のお墓の「構造」

そんな個人墓地の広い土地に建てられてきた、家のように大きい沖縄のお墓…、沖縄のお墓ならではの「決まり事」もあります。

【 沖縄のお墓の「構造」 】

① 沖縄のお墓、左側(向かって右側)

「ヒジャイガミ(左神)」と呼ばれる神様の場所があります。お墓参りでは、まずここにお供え物をして拝むのが習わしです。

② 沖縄のお墓、右側(向かって左側)

(沖縄の人々でも気に掛けない方が多いですが)沖縄のお墓には、右にも「ニジリヌカミ」と呼ばれる神様がいるんですよ~!

③ 沖縄のお墓、中央部分の右側(向かって左側)

さらに「ジンクラ(銭倉)」と呼ばれる、ウチカビ(※1)を焚く場所があります。

④ 沖縄のお墓、中央

中央には扉があって、扉を開くと骨壺を入れるスペースです。

⑤ 沖縄のお墓、中央スペース手前

このお墓の中央にある扉(や石が積まれているなどもあります。)を開けると、一番手前が「シルヒラシ」と呼ばれる所です。

「シルヒラシ」は「汁減らし」と書き、その昔は新人のご遺体が安置されていた(いる)場所を差しています。

この名残りは火葬になった今でもあって、後生(グソー=あの世)の世界の「新人」に当たる骨壺は、お墓に入ってすぐの手前に安置されるのが、習わしです。

…と言っても、幸地腹門中は総勢5000人以上と言われる大きな門中!お墓もこれでは成り立ちません。大きなお墓に小さなお墓が四つ、奥には祠が数多くあり、また違うしきたりの元、納骨をしています。

沖縄に多いお墓の種類

沖縄のお墓は「琉球墓」などと呼ばれ、本州のような和墓はあまり見られません。また、この琉球墓にもいくつかの種類があるんです!

【 沖縄のお墓の種類って? 】

① 破風墓(はふうばか・はふばか) … 家のようなお墓で、屋根部分が日本のお城に見られる三角屋根「破風屋根」になっています。

② 亀甲墓(かめこうばか) … 屋根が亀の甲羅のような形が特徴。「死んで子宮へ還る」とし「女性の子宮を象っている」説もある沖縄のお墓です。

③ 家墓(いえばか) … シンプルな屋根があるお墓で、なかには「軸石型」などと呼ばれる、屋根の上に和墓の墓標のようなものが付いているお墓もあります。

…破風墓は琉球王朝時代に広がり、亀甲墓は明治の廃藩置県後、民衆の間で広がったお墓です。ただ、亀甲墓はその大きさと形から、戦時中に基地と間違えられ、多くのお墓が攻撃を受けました。

いかがでしたでしょうか、今日は沖縄のお墓の5つの特徴についてお伝えしました。

沖縄のお墓には土地を守る神様、「ヒジャイガミ(左神)」様がいらっしゃり、お墓参りの時には、御先祖様よりも先に、まずヒジャイガミ様へ拝みを捧げるのがしきたりです。

本文中で出て来た「ジンクラ(銭倉)」は、「ウチカビ」を焚く場所ですが、(※1)ウチカビとは、御先祖様があの世で使うお金で、焚いて煙にして届けます。

ちなみに神様へは「シルカビ」と呼ばれる、白い半紙で作ったお金を準備するので、注意をしてください(^_^)/

【 沖縄のお墓、葬送に関する記事 】

・ 沖縄の風葬の歴史☆本州とは違う葬送の習わしとは
・ 沖縄のさまざまなお墓。本島とは違う5つの特徴とは

まとめ

沖縄のお墓、5つの特徴

・左側に「ヒジャイガミ(左の神)」様
・右側に「ニジリヌカミ(右の神)」様
・カロートは地上にある
・扉の横に「ジンクラ(銭倉)」がある
・カロート内に「シルヒラシ」がある