トゥシヌユール(大晦日)☆旧正月、年末の過ごし方

トゥシヌユールは沖縄で「大晦日」を意味します。今では新正月を祝うのが沖縄でも一般的ですが、それでも南部地域などは旧正月が盛んですよね。
そんな旧正月前日のトゥシヌユール(大晦日)、その昔にはお祝いとして飼っている豚を一頭下ろして、御馳走を作り、掃除や新年の準備をして、家族で過ごしました。
現在でもトゥシヌユール(大晦日)では、御馳走を用意してお仏壇に供え、一年の感謝を捧げて新年を迎えます。
そこで今日は、現在のトゥシヌユール(大晦日)の拝み方、過ごし方をお伝えします。
トゥシヌユール(大晦日)☆
旧正月、年末の過ごし方
トゥシヌユール(大晦日)の御馳走
昔ながらのトゥシヌユール(大晦日)の御馳走と言えば、「ソーキ汁」ではないでしょうか。
豚を一頭下ろしたら、「鳴き声以外は全て食べつくす」と言うように、ティビチ(豚足)からミミガー(耳)、ラフテーなどなど、あらゆる料理を作ります。
【 トゥシヌユールの御馳走 】
☆ 全国的な大晦日の「年越し蕎麦」のように、沖縄ではトゥシヌユール(大晦日)の夜、家族でソーキ汁とウサンミ(御三味)をいただきます。
・ 「ソーキ汁」は骨付きのあばら肉と冬瓜(とうがん、近年では大根の家庭も多い。)を煮込んだお汁です。
…ご飯はヒヌカンやお仏壇にお供え物をするので、赤飯を炊きます。全国的な赤飯でも良いのですが、我が家では古米を入れたご飯が赤ウブクです。
※ 赤ウブク(赤飯)が一般的と言われますが、地域によっては赤飯ではなく白ご飯、ソーキ汁に限らずお刺身などをお供えする家庭も多くなります。
ソーキ汁など、トゥシヌユール(大晦日)や旧正月にいただく料理のレシピは別記事でもお伝えします。
「沖縄の旧正月レシピ、その1☆ソーキ汁と如意素麺」「沖縄の旧正月レシピ、その2☆「豚正月」を楽しむ料理」の記事を参考にしてください♪
※ アップ次第、リンクを貼っていきます。
トゥシヌユール(大晦日)に済ませるお飾り
トゥシヌユール(大晦日)までに、本州と同じように来るところまで準備を整えて、ゆったりとした気分で元旦を迎えるのが良しとされていますよね。
ただ、トゥシヌユール(大晦日)の拝みもありますから、実際には門や玄関の若木や、床の間の若木や生け花などの飾り付けのみを準備して、ヒヌカンやお仏壇へのお供え物は元旦の早朝に整えることが多いです。
しめ縄は古い昔の風習が残る地域では、飾らない家庭も見受けられます。また、旧正月は年によって違いはあるものの、多くは新正月後、一ヶ月前後で訪れますから、新正月にしめ縄を飾ったまま、旧正月まで飾り続ける沖縄の家庭も多いです。
【 トゥシヌユール(大晦日)に済ませるお飾り 】
① 玄関のしめ縄(ただし、本来はしめ縄を飾らない家も多い)
② 玄関、門に飾る若木 … 南天(なんてん)などのおめでたい若木
③ 床の間とお仏壇に生ける、若木や若葉、お花
…ただ翌朝にはウカリーと呼ばれる三色の紙やみかん、昆布巻きの炭などもヒヌカンやお仏壇へ供えます。
また花米(お米)も九合をジューバクに入れて飾るので、トゥシヌユール(大晦日)から購入して、準備をしてください。
旧正月のお飾りやお供え物は別記事「沖縄の旧正月の供え物☆早朝から進めるお供えやお飾り」でお伝えします。
トゥシヌユール(大晦日)のお供え物
トゥシヌユール(大晦日)のお供え物は、作った御馳走をお膳に配膳して供える「年越し膳」です。
ただし、ヒヌカンへは赤ウブク(赤飯)を三膳供えるのみで済ませます。(ヒヌカンはウティン(天)へ里帰り中ですが、「影膳」ではないですが、変わらず供えてください。)
【 トゥシヌユール(大晦日)のお供え物 】
① ヒヌカン
・ 基本のお供え物(クロトンやチャーギなどの緑葉樹の供え葉・ミジティ=水・塩)
・ お酒
・ 赤ウブク(赤飯)を小さい茶碗に三膳
※ ヒラウコー(沖縄線香)はタヒラ半(二枚と半分=日本線香12本と3本)を拝して拝みます。
② お仏壇(お仏壇がメインです。)
・ 基本のお供え物 … ウチャトゥ(お茶)を一対、お酒、供え花
・ 年越し膳 … ソーキ汁などの汁もの、赤飯、ウサチ(酢の物)、ウチャワキ(お茶脇=御馳走をお皿に取り分けたもの)
・ お箸
・ ニンニクの葉
…以上です。ウチャワキ(お茶脇)のお皿に盛りつけるおかずは、ジューバク(重箱)料理のウサンミ(御三味)で詰める料理、豚の三枚肉の煮付けやかまぼこ、こんにゃくやゴボウの煮付けが多いです。
ウサチ(酢の物)は、酢の物であれば何でも良いのですが、「豚正月」と言うだけに、豚肉料理が多いため、ミミガーの酢の物などが良く見受けられます。
トゥシヌユール(大晦日)の拝み方
以上のお供え物をヒヌカンとお仏壇へ供えたら、それぞれに拝みの言葉を捧げて手を合わせてください。
【 トゥシヌユール(大晦日)の拝みの言葉 】
① ヒヌカン …
「ウートゥートゥー ヒヌカンガナシー、
本日、ヒヌカンガナシーのお陰を持ちまして、無事にトゥシヌユール(大晦日)を、家族揃って迎えることができました。
ありがとうございます。
年が明けましても一年、この家に住みます家族みな、穏やかに健やかに、家族円満、笑顔多い一年となりますように、どうぞお見守りください。」
② お仏壇 …
「ウートゥートゥー ウヤフジガナシー、
今年も家族みな、無事にトゥシヌユール(大晦日)を迎えることができました。
それもこれも、皆さまに家族をお見守りいただいたお陰です、誠にありがとうございます。
どうぞ、年が明けましても新年一年、家族みなが健やかに穏やかに過ごすことができますように…、
サカイハンジョウシミティ(繁盛させてくださるよう)ミーマンティ ウタビミスーリー(見守っていてください)。
ウートゥートゥー。」
…このようにお伝えをすれば、トゥシヌユール(大晦日)の拝みは終わりです。後はお供えをしたウサンミ(御三味=御馳走)をウサンデー(下げて)しても大丈夫です。
家族みなで夜遅くまで、静かに団らんをして過ごして下さい。
いかがでしたでしょうか、今日は旧暦12月30日(旧暦は30日で終わります)のトゥシヌユール(大晦日)、沖縄の旧正月へ向けた、年末の過ごし方をお伝えしました。
全国的なお正月が、お餅をついて年末を過ごし、お餅を入れたお雑煮を食べていただく「餅正月」であれば、沖縄では年末に豚を一頭下ろしていただく、「豚正月」でした。
確かに、豚を飼う家庭自体が少なくなった現代では、昔のような「豚正月」はすっかり少なくなったものの、料理にはソーキ汁や如意素麺、中身汁と昔の名残が見受けられます。
さらに、昆布や田芋(ターンム)なども、お祝いの日に喜ばれる「ハレの日料理」です。ぜひ、美味しい料理で楽しく、昔ながらの旧正月を味わってみてください。
まとめ
沖縄のトゥシヌユール(大晦日)の過ごし方
・昔は豚一頭を下ろして隅までいただいた
・トゥシヌユール(大晦日)と言えば、ソーキ汁
・しめ縄や門松は、飾り終えておく
・ヒヌカンへは赤ウブクを三膳供える
・お仏壇へは「年越しの膳」を供える
・ヒヌカンとお仏壇、それぞれに拝む
・旧正月のお供え物は、元旦早朝に供えて良い