屋敷の御願 沖縄の御願

屋敷の御願で何を祈る?⑤最後に拝むナカジンヌカミ

屋敷の御願で何を祈る?④最後に拝むナカジンヌカミ

屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)は地域や家庭でも違いはありますが、多くで2・8・12月(旧暦12月24日)に行う、屋敷(家)の神々を廻る、沖縄の大切な御願行事ですよね。

何記事にも渡りお伝えしてきましたが、屋敷の御願で最後に拝む場所は庭、玄関から門の間に当たる場所です。ここを「ナカジンヌカミ(中陣の神)」と言います。

基本的な拝み方は他の屋敷の神々と同じですが、最後であること、ナカジンヌカミの特徴もあって、唱える言葉は少し変わるのが特徴です。

そこで今日は、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)で最後に廻る、「ナカジンヌカミ(中陣の神)」と拝み方についてお伝えします。

屋敷の御願で何を祈る?④
最後に拝むナカジンヌカミ

屋敷の御願のおさらいと、ナカジンヌカミ

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屋敷の御願はヒヌカン(火の神)から始まり、お仏壇→ユンシヌカミ(四隅の神)→ジョウヌカミ(門の神)→フールヌカミ(トイレの神)へと拝みを進め、最後がこのナカジンヌカミ(中陣の神)です。

全部で六柱の神様となりますが、ユンシヌカミは家の四隅に位置するので実際の拝み処は九カ所となります。

補足ですが、ユンシヌカミの廻り方にも順番がありますので、北神から右回りに東神→南神→西神と進んでください。

では長くなりましたが、ナカジンヌカミ(中陣の神)についてお伝えしていきます。

【 屋敷の御願:ナカジンヌカミ 】

★ ナカジンヌカミ(中陣の神)は庭の玄関から門の間にいらっしゃる神様で、ウティン(天)への取り次ぎを担ってくださる神様です。

・ ですからナカジンヌカミへ拝むと言うことは、同時にウティンヌカミ(天の神)や、ジーチヌカミ(地の神)への拝みの意味合いもあります。

ウティンヌカミはヒヌカン(火の神)が年末に里帰りをして、一年の家の出来事を報告する神様でもあり、大きな神様です。ですから、ナカジンヌカミを通して報告をしてください。

屋敷の御願、ナカジンヌカミへのウサギムン

屋敷の御願のお供え物☆イラストで詳しく解説します

「ウサギムン」とは沖縄の言葉で「お供え物」です。屋敷の御願のお供え物は、ユンシヌカミやジョウヌカミ、フールヌカミ…、他の神々様と同じもので大丈夫です。

ただし次の神様へ移動する際には、毎回お酒の盃とウチャヌク(もち粉で作った白餅の三段重ね)のてっぺんは交換をしてください。

【 屋敷の御願:ナカジンヌカミへのウサギムン 】

① お酒 … 対の徳利の中央にお酒を継いだ盃

② お米 … 対の花米(お米)の中央に洗い米(七回すすいだお米)

③ ウチャヌク … 半紙の下敷きの上に、ウチャヌクを三セット

④ 果物の盛り合わせ … りんご(2,3個)、みかん(2個ほど)、バナナ(1束)が望ましい

⑤ シルカビ … 半紙の三枚重ねを縦半分に折り、上から均等に四等分に切った、「神様のお金」を一組。

※ 最後にシルカビを燃やすので、「カビバーチ」と呼ばれる、シルカビやウチカビを焚く金属ボウルを用意してください。

専用のカビバーチでない時には、火箸や底に敷く網を用意したり、金属ボウルに水を少し張り、ネギの輪切りなどを入れる家庭もあります。(香りの強いものでヤナカジ・シタナカジを追い払うためです。)

…これを膳にならべて供えます。ビンシーを用意する家もありますが、屋外と言っても屋敷は庭内なので、膳に揃える家庭が多いのではないでしょうか。

また、シルカビは半紙で作りますが、切る時にはハサミは禁物です。神事にハサミは極力避けてください。しっかりと折目を付けて、丁寧に手で千切って用意します。

屋敷の御願、ナカジンヌカミへの拝み方

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玄関から門の中央付近で、このようなウサギムン(お供え物)を供えたら、ヒラウコー(沖縄線香)をタヒラ(二枚=日本線香十二本)、火を灯して拝してください。

屋外ですので燃え移りに注意をして、石や砂で山を作りウコール(香炉)代わりとすることが多いです。

【 屋敷の御願、ナカジンヌカミへの拝み方 】

★「ウートゥートゥー ユンシヌウカミガナシー、ジョウヌウカミガナシー、フールヌウカミガナシー、ナカジンヌウカミガナシー…、

(あな尊き、四隅の神様、門の神様、トイレの神様、中陣の神様)

今日は 〇〇月の屋敷の御願の日でございます。

屋敷の神々様、皆さまでお力を合わせ、屋敷とこの家に住みます家族をお守りいただき、誠にありがとうございます。これからもどうぞ、御加護いただきますよう、お見守りくださいませ。」

ウティンヌウカミガナシー、ジーチヌウカミガナシー、(天の神様、地の神様、)

本日の果報な良き日、無事に屋敷の神々様へ拝みを捧げることができました。

どうぞ今後とも、この屋敷を百果報溢れる縁起良き、クガニヤシチ(黄金屋敷)でありますように。

そして、この屋敷に住みます家族がみな、穏やかに健やかに暮らすことができますよう、どうぞ、お見守りください。

ウートゥートゥー ディービル。」

…ナカジンヌカミへの拝みの言葉は以上です。もちろん沖縄言葉で唱える方もいますし、家庭によって言い回しが変わるかもしれません。けれども内容を同じくしていれば、問題はありません。

シルカビを燃やす

【 屋敷の御願、ナカジンヌカミへの拝み後 】

★ ナカジンヌカミへの拝みの言葉を唱えましたら、続いてシルカビを燃やします

・ シルカビが燃え尽きたら、ウサギムン(お供え物)から花米(お米)、洗い米(七回すすいだお米)をひとつまみずつその上に掛け、さらにお酒を三滴振り掛けてください。

…これで一連の屋敷の御願は終了です。ただし旧暦12月24日の場合には、この後に一年の祈願を解く「ウグァンブトゥチ(御願解き)」、続いてヒヌカンの里帰りをお見送りする「昇天の拝み」があります。

ありがとう

いかがでしたでしょうか、今日は屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)の最後の拝み、ナカジンヌカミ(中陣の神)への拝み方をお伝えしました。

地域によってフールヌカミ(トイレの神)が強い…、などと言い伝えはそれぞれありますが、ナカジンヌカミもまた、ウティンヌカミ(天の神)やジーチヌカミ(地の神)と繋がる大切な神様です。

「屋敷の神々のなかでフールヌカミが最も強い」と言われるのは、きっと、ヤナカジ・シタナカジ(悪霊や悪疫)を即座に追い払う力がある、とされているためではないでしょうか。

一度廻ってみると、意外とスムーズに拝みを進めることができますので、ぜひ、本記事を参考に屋敷の神々へ感謝を捧げてみてはいかがでしょうか。

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屋敷の御願で何を祈る?⑤最後に拝むナカジンヌカミ

まとめ

屋敷の御願、ナカジンヌカミへの拝み方

・中陣の神は天の神、地の神へ通じている
・門と玄関の間の庭先が拝み処
・お供え物はウチャヌクのてっぺん、お酒のみ交換する
・屋敷の神々様が力合わせてくださることへ感謝
・天の神、地の神様へ感謝を伝える
・拝みを終えたらシルカビを燃やす
・燃え尽きたら花米、洗い米をひとつまみずつ掛ける
・続いてお酒を三滴掛ける