ヒヌカン

ヒヌカンの灰の掃除☆神様に残ってもらう5つの手順

ヒヌカンの灰の掃除☆神様に残ってもらう5つの手順

ヒヌカン(火の神)の灰は、日ごろむやみに触れることはできない、と言われていますよね。そのため、旧正月へ向けた年末、旧暦12月24日のヒヌカンへの拝み行事の前に、お断りをして丁寧に掃除をします。

もともとヒヌカン(火の神)の灰は、(その昔は台所を担った)母から娘へ、義母から嫁へと、代々受け継がれてきた大切なもの…、「掃除」と言っても、その手順があります。

せっかく心を込めて日ごろからヒヌカンへ拝むのですから、掃除も、出来れば習わしに従いたいところですよね。

そこで今日は、旧暦12月24日の拝みの前に行う、ヒヌカンの灰の掃除についてお伝えします。

ヒヌカンの灰の掃除☆
神様に残ってもらう5つの手順

ヒヌカンの灰をむやみに触れない理由とは

もともと、ヒヌカン自体にさまざまなタブーがあります。例えば「男性が触ってはいけない…。」などの習わしもありますよね。そのなかでもヒヌカンの灰に関しては、とても慎重です。

【 ヒヌカンの灰はむやみに触れない? 】

☆ ヒヌカンの灰にこそ、神様が宿っているとされています。ですから、娘が独立したり、結婚をして継承をする時、家のヒヌカンの灰を
譲り受ける
のです。

・ また、ヒヌカンの灰には「帳簿」があるとされています。そのために、むやみに触る・掃除をすると、「家の悪い記録を消すために触っている」と判断され、良くないと言われてきました。

もちろん、旧暦12月24日以外の日でも、あまりにもウコール(香炉)に灰がいっぱいだったりすれば、ヒヌカンの灰を掃除しても構いません。

けれども、ヒヌカンの灰の掃除前には、必ず「ウコール(香炉)の灰がいっぱいになっているので、掃除をさせていただきます。」などと、ヒヌカンへ理由を伝えてお断りを入れるのが、習わしです。

ヒヌカンに残ってもらう儀式

このようなことから、特にヒヌカンの灰がいっぱいで、一部捨てるのならば、ヒヌカンの灰に宿った神様が落ちてしまわぬように、手順が言い伝えられてきました。

捨てる灰に宿っている神様に、ヒラウコー(沖縄線香)を依り代として乗り移ってもらい、新ししく整えたウコール(香炉)の灰に移動します。

灰の掃除

【 ヒヌカンの灰の捨て方 】

① ウコール(香炉)がいっぱいになっていたら、底の方からスプーンで灰を別の器に取り分けます。大さじで2・3杯ほどでしょうか。

② ヒジュルウコーを一枚用意します。(ヒジュルウコーは「冷たい線香」と言う意味で、火を灯していないヒラウコーを差します。)

③ 外側から円を描くよう、渦巻き状に中心に向かい、時計回り(右回り)に三回回しながら、ヒラウコーを①の捨てる灰に差します。

④ 「ウコール(香炉)の灰がいっぱいになりましたので、掃除をしています。どうぞ、ヒラウコーに乗り移ってください。」とヒヌカンへ伝え、手を合わせてください。

⑤ ヒヌカンが乗り移ったヒラウコーを外します。差す時とは反対…、中心から外側へ向かい、時計とは反対の左回りに、渦巻き状に三回回して外してください。

⑥ これで、ヒジュルウコーにヒヌカンが乗り移りました。

⑦ 整えた新しいウコール(香炉)の灰に、ヒヌカンを移します。⑤のヒラウコーに火を灯し、新しいウコール(香炉)へ拝して、合掌です。

…これで、ヒヌカンの灰の掃除はできました。残す方のもう一方の灰は一度漉してさらさらにして、戻すとよりスッキリとします。

ヒヌカンまわりの掃除

続いてヒヌカンまわりの掃除をします。基本は拭き掃除をしてください。ただ、ヒヌカンは台所にありますから、場所によっては油っぽくなることも多いです。

【 ヒヌカンまわりの掃除 】

☆ ヒヌカンまわりには、あまり強力な洗剤は相性が良くありません。それでも食器洗い用の洗剤を利用すると、良く取れます。下記の要領で油汚れをふき取ってください。

★ 用意するもの ★

・ キッチンペーパー
・ 食器洗剤(油汚れが良く取れるタイプがおすすめです。)
・ ボウル
・ 泡立て器
・ 柔らかいスポンジ

★ 優しい油汚れ掃除の手順 ★

① ボウルに1/3ほどの水を入れ、そこに食器洗剤を少し回し入れます。(4滴ほど入っていれば充分です。)

② 泡立て器を使って、しっかりと泡立ててください。

③ ヒヌカンの台、特に油でヌメヌメしてしまった部分に②の泡を置き、上からキッチンペーパーをかぶせて「湿布」をします。

④ しばらく放置をしてください。(約10分~20分)

⑤ 汚れが浮いてきますので、キッチンペーパーで拭きながら湿布を外し、さらにスポンジで丁寧に拭き取ります。

…これで、ヒヌカンの神様にも刺激が強すぎない、油汚れの掃除ができました。

食器洗剤は家庭のあらゆる場所に有効なうえ、刺激が少ないので、ぜひ役立ててみてはいかがでしょうか。また、重曹やお酢もおすすめの優しいお掃除道具です。

【 日ごろからこまめな掃除のために 】

☆ ヒヌカンの板は油汚れが付きやすい家庭(置く場所によって)もありますよね。

・ そんな時には、キッチンの脇に小さく切り分けた新聞紙を常備しておくと便利でおすすめです。

新聞紙は油汚れに強いので、気になったらその都度、こまめな拭き掃除ができます。

 

いかがでしたでしょうか、今日は旧正月に向けた年末の掃除、特にヒヌカンの灰や、ヒヌカンまわりのお掃除についてお伝えしました。

やはり、神様にとってカビや油汚れ、ほこりなどは大敵!…とは言っても、なかなか忙しい日々で、思うように掃除ができない方も多いのではないでしょうか。

ヒヌカンまわりのお掃除は、拝み前に行うと習慣になりやすく(理由を伝えてご挨拶はしてください)、より負担が少なくなります。

日ごろは毎月1日・15日の「チィタチ・ジュウグニチの拝み」の前に軽く掃除をし、ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)では、今回のような丁寧な掃除を行うのも、一案かもしれません。

ウグァンブトゥチ(御願解き)の前に、塩もさらさらの新しい塩へ、お酒やお水も一度捨てて、全て入れ替えます。供え葉のお水も交換して、スッキリと年末の拝みを進めてください。

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屋敷の御願で何を祈る?④ジョウヌカミとフールヌカミ
屋敷の御願で何を祈る?⑤最後に拝むナカジンヌカミ

まとめ

ヒヌカンまわりの年末の掃除

・ヒヌカンの灰には神様が宿っている
・灰には帳簿もある
・灰を捨てるなら、ヒラウコーを依り代にする
・右回りで差し、左回りで外す
・新しいウコールに火を灯して拝する
・掃除は刺激の少ない食器洗剤がおすすめ
・食器洗剤の泡湿布で油を溶かして拭き取る
・日ごろは新聞紙を利用すると便利