ヌジファ(抜魂)で家に帰る。家族を亡くした時の儀礼 | おきなわごころ、かみさまとの暮らし方

ヌジファ(抜魂)で家に帰る。家族を亡くした時の儀礼

ヌジファ(抜魂)で家に帰る。家族を亡くした時の儀礼

沖縄では「ヌジファ」と呼ばれる儀礼がありますよね。「ヌジファ」は「抜魂」と書き、その言葉通り「魂を抜く」儀礼です。

沖縄では「ヌジファ」と言っても、例えばぬいぐるみなどの人の形をしたオモチャの処分や、位牌の交換時にも行います。

実は最近、近しい家族を亡くした時に行う、「ヌジファ(抜魂)の儀礼」について、相談を受けることが度々起きました。

「この年末年始に…」と思ったり、メルマガでお伝えした方が良いのか…、と迷いましたが…、年末年始だからこそ相談先に困る方も見受けられます。

そこで今日は、近しい家族が亡くなった時、近しい人々こそが行いたい、沖縄のヌジファの儀礼をお伝えします。


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ヌジファ(抜魂)で家に帰る。
家族を亡くした時の儀礼

ヌジファ(抜魂)とは

沖縄ではイチミ(生身)には七つの魂が宿っているとされ、交通事故などでビックリした時には、その一部が体から飛び出すと言われてきました。

(ですから沖縄では、事故現場へ戻って魂を体に戻す「マブイグミ」なども一般的です。)

この七つのマブイ(魂)は、七つの内いくつかが落ちても、亡くなることはありません。(ただ、精神が乱れるなど影響が出ると言われています。)

けれども、生死を司る大きなマブイ(魂)、「イチマブイ(生魂)」が体から長く出てしまうと、その人は亡くなってしまうとされてきました。

【 家族を亡くした時に行う、「ヌジファ(抜魂)」 】

☆ このイチマブイ(生魂)は、その人が亡くなると「シニマブイ(死魂)」と呼ばれ、肉体としての「死」はあっても、その魂はなくならないと言われています。

・ そしてシニマブイ(死魂)は体から落ちて、その場所に残り、自分では移動することができません。ですから、家族がその魂を救い上げ(これがヌジファ=抜魂)、病室から家へ、家からお墓へ…と案内が必要です。

このマブイ(魂)への沖縄の人々の信仰は、「霊魂不滅」などの言葉で表現されることもあります。

ヌジファ(抜魂)は家族が、移動する前に行う

前項でお伝えしたように、体から抜け出たマブイ(魂)は、その場所から離れることができません。ですから、近しい家族が故人の魂を救い上げ、移動先までお供して案内をします。

ですから、最初に家族がヌジファ(抜魂)を行う場所は、病室であることが多いです。(老人ホームや事故現場など、他の場所で行うことも、もちろんあります。)

【 病室から移動する時の、ヌジファ(抜魂) 】

① ヒラウコー(沖縄線香)はタヒラの二枚(日本線香十二本)を用意し、この他に白い封筒、塩を準備します。

※ ヒラウコーは火を付けない「ヒジュルウコー」で儀礼を行ってください。

② 故人の足先から円をくるくると描くように、頭頂へとヒラウコー(沖縄線香)を移動します。

③ 家族は故人の魂に話しかけて案内をしてください。例えば「〇〇(名前)、これからお家に帰りますから、一緒に行きましょうね。」などで大丈夫です。

④ 回したヒラウコー(沖縄線香)を白い封筒に入れ、さらに白紙に包んだ塩を入れておきます。

⑤ ④の白い封筒は、故人の懐にしまってください。

⑥ 皆で病室を出ます。故人は足元から部屋の外へ出てもらい、家族は忘れ物がないかを入念にチェックして、「振り向かず、戻らず」病室を後にします。

⑦ 自宅に戻ったら、④のヒラウコー(沖縄線香)を取り出して火を灯し、枕元のウコール(香炉)に拝してください。 

魔除け「サン」の扱い

このヌジファー(抜魂)では、一般的にはさらにススキを結んだ魔除けの「サン」を用意して、「サンの上にマブイ(魂)を乗せる」とする方法もあります。

また故人の枕元にサンを置いて、悪霊が寄って来るのを避ける方法もありますよね。判断が難しいところですが…、私はサンを利用しません

【 ヌジファ(抜魂)でサンを使うか否か 】

★ サンは霊を寄せ付けないよう作られた魔除けです。確かに亡くなった者には悪霊が寄り付きやすいとされてきましたから、悪霊にはサンが有効です。

・ けれども同時に、シニマブイ(死魂)になっているため、「故人の霊にとっても、サンは苦しい」とも言えます。

その苦しみは「首を絞められるような辛さ」とも言われ、「そんなサンに故人の魂を乗せて移動したり、傍に置くのはどうか…」との意見も多いです。

ヌジファ(抜魂)のグイス(祝詞)

故人に行うヌジファ(抜魂)は、神職の方を呼ぶ家もありますが、故人の心を思えば、近しい家族こそ行いたい儀礼ですよね。

ここではヌジファ(抜魂)のグイス(祝詞)をお伝えしますが、神職の方々は唱える方も多いものの、家族であれば前項でお伝えした、故人への話しかけで充分です。

【 ヌジファ(抜魂)のグイス 】

★「ウートゥートゥー、

○○ヌ クマウトーティー イシャヌヨウジョウ スーリビタシガ、チュークヌユ ウシナイビタン、
(○○がここでお医者様の養生をしていましたが、今日、亡くなったので、)

クマカラ ヌジファサビディーン ヤンカイウトゥム ウンティケェ サビグトゥ、
(今からヌジファをして、家までお供することになりましたので、)

○○ヌタマシーヤァ クヌウコーニ ヌイグッディ クィミスーチ、
(○○の魂には、この線香に乗り移っていただき、)

マジュンウトゥム ウンティケェ シミティー ウタビミスーリー、
(家まで一緒にお供させていただきますように、)

ウートゥートゥー」

…このグイス(祝詞)は、ヒジュルウコー(火を灯していない沖縄線香)を故人の足元から頭頂までくるくると回しながら、唱えてください。

 

いかがでしたでしょうか、今日は大切な家族を亡くした時に、病室などから自宅へ移動する前に行う、「ヌジファ(抜魂)」の儀礼をお伝えしました。

故人の気持ちになって考えてみると、知らない神職の方々を呼ぶ御家庭も多くありますが、近しい家族や知人・友人で充分ですし、むしろその方が、故人も嬉しいかもしれません。

このヌジファ(抜魂)は故人の体を移動する時に行うものですので、何度も移動するのであれば、その都度行います。

最近では自宅に帰宅しても、ヌジファ(抜魂)のヒラウコー(沖縄線香)は取り出さず、故人の懐にしまったまま、火葬を行う方法も増えてきました。

どうぞ「故人の魂が迷わないように」と心配な方は、家族でこの方法で行ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

近しい家族で行う、故人のヌジファ(抜魂)

・沖縄には「霊魂不滅」の信仰がある
・病室のヌジファはヒジュルウコーで行う
・病室を出る時は、故人は足元から出る
・病室を出たら、家族は振り向かない、戻らない
・自宅に付いてらヒラウコーに火を灯して拝する
・本来は病室でのヌジファにグイスがある
・神職が行うことも多いが、家族でもできる


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