観音様は沖縄の子ども達の守り神☆拝所や拝み方

観音様は沖縄の子ども達の守り神☆拝所や拝み方

沖縄では観音様は子ども達の守り神として、信仰されてきましたよね。沖縄の各地域で見られる観音堂でも、子育て祈願に参る姿を見掛けます。

沖縄では観音様だけではなく、ビジュル(霊石)などを祀る子育て祈願の拝所(うがんじゅ)がありますが、さらに観音様にもお参りをする家も多いです。

ビジュル(霊石)への拝みも含めた「ティラヌムメー(お寺参り)」は旧暦九月頃に見られますが、観音様への拝み事では旧暦「正五九月(一・五・九月)」の観音様の「縁日(一ヶ月で最もご縁が深い日)」である十八日の拝みを多く見受けます。

旧暦一月十八日は、新暦2019年では2月22日!そこで今日は、沖縄の「観音巡り」、有名な観音様がいる観音堂や、観音堂での拝み方をお伝えします。

観音様は沖縄の子ども達の守り神☆
拝所や拝み方

沖縄の観音信仰

観音様は子育てを司る神様とされ、床の間に観音像や観音様の掛け軸を祀る家も多くありました。

今ではそもそも、床の間がない家も多く、祀る家も少なくなりましたが、それでも赤ちゃんが産まれると、観音堂へ拝む家族も多いです。

【 沖縄の観音信仰 】

☆ 沖縄には各地の子育て祈願を行う拝所(うがんじゅ)で、赤ちゃんが産まれると、子どもの健やかな成長を祈願します。これが「ティラヌムメー(お寺参り)」です。

・ …ただ、それでも病弱に産まれた子どもなど、不安な事柄があると、地元の拝所(うがんじゅ)に合わせて、複数の有名な観音様を参る慣習があります。

沖縄の観音信仰は深く、各地に数多くの観音堂がありますが、最も有名な沖縄の観音堂を差して「琉球七観音」などと呼ばれてきました。けれどもこれは、ご自身が親しみを感じる観音様や、門中(血筋)にご縁の深い観音様を巡っても、何も問題はありません。

観音様が「育ての親」?

これは沖縄には「ヤシネーウヤ」の言い伝えがあるためです。「ヤシネーウヤ」とは沖縄の言葉で「養い親」、…現代の言葉で言えば「育ての親」の意味合いがあります。

【 観音様を「ヤシネーウヤ」に 】

☆ 沖縄では、病弱な子どもが産まれると「親と子の相性が悪い」と考えられてきたためです。

・ 子どもを健康にするために、実の親の他に観音様を「ヤシネーウヤ(養い親)」として立て、相性の悪さを解消するのです。

今では観音様が多いですが、昔ながらの習わしでは観音様に限らず、地元の拝所(うがんじゅ)など、他の神様もヤシネーウヤとされてきました。

有名な観音様(観音堂)三選

人と同じように観音様も出会い(ご縁)があるので、その人それぞれに信仰する観音様がありますが、ここではそのきっかけとして、有名な観音様をいくつかお伝えします。(どれも前述した「琉球七観音」の一観音として挙げられている沖縄の観音様です。)

【 沖縄で有名な観音様(観音堂) 】

① 首里観音堂 … 那覇市首里山川、沖縄都ホテルのすぐ近く

・ 沖縄では大きな観音堂で、観音様は千手観音、菩薩様も守り本尊とされ、首里十二カ所巡りの一社としても有名です。

② 奥武観音堂 … 南城市玉城奥武、奥武島の橋を渡った近く

・ 奥武島(おうじま)の人々に信仰されてきた奥武観音堂(おうかんのんどう)、今でも旧暦五月四日にはハーリーと共に祭祀が行われます。

③ 久志の観音堂 … 名護市久志、村の集落の東端

・ 地元の人々に「ティラヌタンメー(お堂の爺さん)」と親しまれている観音様で、今でも旧暦一月・九月の十八日には拝み事の日です。

…とは言え、沖縄各地に観音堂はありますので、自分の住む地域の観音様にまず拝むことをおすすめします。(詳しくはまた少しずつ、お伝えします。)

首里観音堂はより広い地域の人々へ開けた観音様で、奥武や久志の観音様は、より地域に根差した観音様と言えます。また病弱な子どもの回復祈願の場合、首里観音堂に祀られている病気を癒す「薬師如来」様が、助けになってくれるかもしれません。

観音堂での拝み方

沖縄には「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」の考え方があるので、一度訪れていたり、「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」となるものを用意すれば、家から拝みを捧げることができます。

遠い観音様へ拝む前に、前項でお伝えしたように、まず地元の観音様やビジュル(霊石)を祀った、拝所(うがんじゅ)で子育て祈願も忘れずにしてください。

【 観音堂での拝み方 】

☆ 詳細はそれぞれの観音様で違うことも多いですが、一般的にはコチラのようなお供え物を用意します。(個人で拝む場合)

① ビンシーセット … 対の徳利に盃のお酒、対の花米の中央に洗い米(※)

② 果物の盛り合わせ

③ ジューバク … 個人の拝みであれば、ウチャワキ(お茶請け)程度でも問題はありません。

④ ヒジュルウコー … 「ヒジュルウコー」は沖縄の言葉で「冷たい線香」、火を灯さずに拝する沖縄線香です。

⑤ 白い紙(シルカビ) … 半紙を千切って、ヒジュルウコーの下に座布団のように置いてください。

「花米」は何もしていないお米、「洗い米」はお米を七回すすいだものです。

…ただ私の地域では洗い米は葬儀や法事で使うもの…、代わりに「クバンチン」として、中央に三十円を供えます。

ヒジュルウコーはほとんどの観音堂で「十五本ウコー」と呼ばれる、「タヒラ半」…、つまり沖縄線香二枚と半分(日本線香では十二本と三本)です。

観音堂での拝み方

今でも神職を担うユタさんや神人であれば、沖縄言葉のグイスを唱えますが、一般の方々であれば、現代の言葉で丁寧に拝めば問題はありません。

【 観音様への拝み方 】

① まず、自分達の住所と氏名、家族の干支を伝えてください。

② 本日、観音様へ拝みに来たこと、日ごろのお見守りの感謝を伝えます。

③ これからも見守ってくださいますよう、家族の健やかな成長と穏やかな暮らしを祈願すれば、終わりです。

お供えは自宅に帰っても、お仏壇や神様に供えることはせず(使いまわしになって失礼ですので…)、自分達でウサンデー(下げていただいて)ください。

 

いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の観音様であれば旧暦「正五九月(一・五・九月」の十八日、ビジュル(霊石)であれば旧暦九月頃に参ることの多い、ティラヌムメーや観音様巡りでの拝み方についてお伝えしました。

ビジュル(霊石)を祀る集落も多いので、地域の子育て祈願は旧暦九月九日を祭祀の日とする集落が多いですが、個人の家庭で沖縄の観音様へ拝むのであれば、縁日である旧暦十八日がおすすめです。

…ただ、かつてのように集落行事としての子育て祈願(ティラヌムメー)はすっかり見なくなりましたので、自分達で拝みに参る家庭が増えてきました。

おきなわごころの「拝み絵」も、皆さまのご自宅で拝めるよう、観音堂で拝んだ拝み絵がありますので、ぜひコチラも楽しみにしていてください♪

まとめ

観音巡りの拝所と拝み方

・子どもが産まれると行う「ティラヌムメー」
・心配事があると観音巡りも行う
・首里観音堂などが有名な観音堂
・ビンシーに果物、重箱料理を供える
・火を付けないヒジュルウコーで拝む
・住所と干支、氏名を伝える
・日々の感謝の後、祈願をする
・お供え物は自分達でウサンデーをする