沖縄のお墓参り、気軽に行きたいけどやっぱりダメ?

お墓参り

沖縄では「お墓参りはむやみに行ってはならない」と言われていますよね。沖縄では「お墓参りに行かずとも、お仏壇と繋がっている」とも伝えられています。

けれども大切な家族を亡くして間もなくは、「お墓まで行きたくて…。」と言う話も聞きます。「立地的に秋には落ち葉がとても落ちるから、こまめに掃除をしてあげたい。」との話もありました。

個人墓も増え、お墓が気に掛かる方は割と多いですよね。そこで今日は、沖縄でお墓参りに気軽に行くことの是非について、お話します。

沖縄のお墓参り、
気軽に行きたいけどやっぱりダメ?

沖縄のお墓参り行事

沖縄ではお墓参りの旧暦行事がありますよね。この沖縄のお墓参り行事を大切にして、親族や門中一族が大勢集まり、墓前で賑やかに宴(お供え物のお下がりをいただく「ウサンデー」)を催す光景は、全国的にも有名です。

【 沖縄のお墓参り行事 】

・旧暦一月十六日の「ジュウルクニチー」…離島地域ではこの日が多いです。

・旧暦清明の節気に行う「シーミー」…本島地域ではこの時期に多くお参りに行きます。

・旧暦七月七日「タナバタ」…旧暦七月十三日からの旧盆を前に、御先祖様に案内を掛ける沖縄のお墓参り行事です。

昔ながらの沖縄ではこのお墓参り行事の日、朝から男性陣はお墓へ行って掃除を行い、女性陣はお供え物などを準備して、午後から賑やかにお墓参りをしてきました。

納骨後、昔から伝わる沖縄のお墓参り

沖縄のタナバタやユンヂチに見る、「日無し」信仰とは

沖縄では納骨翌日のお墓参りの習わしもあります。全国的には入るお墓がある場合でも、(卒塔婆などの準備もあるので)四十九日を目途に納骨式を行いますが、沖縄では葬儀当日の納骨式が一般的でした。

【 納骨後、沖縄のお墓参り 】

★ 葬儀当日に納骨する沖縄では、翌朝にお墓参りに行く風習があります。

・ 今では翌日のお参りのみの家も多いですが、「ナーチャミー」と呼ばれる初七日までの七日間、沖縄では毎日お墓参りをしていました。

今でも地域によってはナーチャミーは盛んに行われ、このナーチャミーは風葬の時代にあった「生き返り」を確認するため、とも言われています。

おばぁに聞く「どうして気軽に参れないの?」

火の玉

本州で広がる仏教では、「お墓参りは思い立った時にいつでも行って良い」とされています。沖縄でも独自の信仰とのチャンプルーはありますが、お坊さんを読んで読経供養をしますよね。

そうなると「仏教ではお墓参りがいつでもできるはずなのに、どうして沖縄ではお墓参りが気軽に出来ないの?」との疑問が沸く方も多いのではないでしょうか。

【 沖縄でお墓参りが気軽に出来ないのはなぜ? 】

★ 書籍などに見る定説では、「他のお墓の霊が寂しがったり、無縁仏が付いて来てしまうから。」などの理由があります。

・ 一方、実際に高齢のおばぁのなかには、「その昔、まだ風葬だった時代には、ともかくお墓のまわりが臭かった…、そのためにお墓行事のみ行っていた。」と話す方もいました。

ユタさんに聞いても理由はさまざまで、「やはり霊魂が多く引き連れてしまったり、霊障が起きやすいから。」とする方もいれば、おばぁと同じように「風葬時代の名残りだから、いつでも行きたい時に行けばいい。」とする方もいます。

現代の霊園なら、気軽にお参りできる?

辺境墓地

沖縄と言えば個人墓地です。古い個人墓地は村はずれの辺境にあることも多く、女性が一人で行くには危険でした。また個人墓地の場合には、草木がうっそうと茂って掃除も大掛かりになり、男手が必要です。

【 沖縄でも霊園なら、お墓参りが気軽に出来る? 】

★ そして掃除をした後、隣のお墓とあまりにも様子が違うと、何だか不憫にも思える方も多くいます。それが「周囲のお墓の霊魂が寂しがる」由縁かなぁ…、と言うおばぁもいました。

・ そのため、日ごろの管理が行き届いている霊園なら、沖縄でも気軽にお墓参りをして良いのではないか、とする方が増えています。

「時代に合わせて…」と言うのは寂しいものもありますが、霊園のお墓の場合、多くのお墓が集合していますから、同じ日取りでお参りをすると、人でごった返してしまいます。

ですから今では霊園にお墓がある場合、時期をずらしてお参りをする家も増えてきました。

気軽にお参りする時の注意点

清明祭(シーミー)で拝む言葉☆お参りでの5つのグイス

ただお墓が集まる場所に行くため、注意点はあります。お墓は死後の住まいですから、生きている人々の家同様、敬意を持って対してください。

【 霊園でのお墓参りの注意点 】

① 他のお墓の前を通る時には、あまりじっと見ることは好まれません。(家なら覗かれているようですよね。)

② 他のお墓の敷地内には入ったり、むやみに触れることは控えてください。

③ 他のお墓に手を合わせて通りすぎることは避けてください。

…時々「お墓の前を通るから…」と、通り過ぎる時に挨拶がてら手を合わせる方もいますが、本来は知らない方に拝まれる状態になるので、あまり良くありません。

ありがとう

いかがでしたでしょうか、今日は沖縄でお墓参りを気軽にできないことについてお伝えしました。本文中でも少し触れましたが、沖縄のお仏壇はお墓と繋がっているとされるため、お仏壇に話しかけるのもひとつの方法です。

また、沖縄のお墓参り行事に三つの旧暦行事をお伝えしましたが、家や地域によっては春と秋のお彼岸にも、全国的な習わしと同じように、お墓参りをすることもあります。

タナバタもお参りをせずお墓掃除だけの家があったり…、と、家や地域によって習わしや解釈はさまざまですので、ひとつの方法として、参考にしてください。

まとめ

沖縄でのお墓参りについて
・沖縄では行事以外のお墓参りを良しとしない
・十六日や清明祭、タナバタなどがお参り行事
・納骨翌日~初七日までも毎日通った
・「周囲のお墓が寂しがる」とお参りを避けた
・風葬時代、お墓が臭かったから…との声もある
・霊園などでは気軽にお参りする人も増えた
・お墓とお仏壇は繋がっている